【大阪杯】歴代の最速上がりはショウナンマイティがマーク GⅡ時代も含めた「記録」を振り返る

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歴代最速の上がりを繰り出したショウナンマイティ

今週は大阪杯が開催される。2017年にGⅠに昇格して、今年で早くも8度目の開催。GⅡ時代にはトウカイテイオーやメジロマックイーン、タイキブリザードらが勝利し、昇格後もキタサンブラックやスワーヴリチャードなどが制してきた。そんな大阪杯の記録を振り返っていく。データはGⅡ時代も含めた86年以降のものだ。

先週の高松宮記念は重馬場のなか開催され、マッドクールが見事にGⅠ初制覇。2着ナムラクレアも重馬場のなかで上がり33.2をマークする好内容だった。

直近の大阪杯で重馬場開催といえば、三冠馬コントレイルやグランアレグリアらが敗れた21年を思い出すファンも多いのではないだろうか。この時の勝ち馬レイパパレは上がり36.8をマークしたが、これは大阪杯の記録としては06年カンパニーと並んで最も遅い。今年は晴れでの開催となりそうで、ここまで遅い上がりになることはないだろう。

一方、最も速い上がりを繰り出して勝利したのは、33.0を記録した13年オルフェーヴル。はやめに仕掛けたエイシンフラッシュを見事に抜き去り、単勝1.2倍の圧倒的支持に応えた。2着のショウナンマイティは32.9と同期の三冠馬をさらに0.1上回る数字を出したが、道中のポジションが響き半馬身届かなかった。

ちなみにショウナンマイティの出した32.9は歴代の出走馬のなかでもトップの上がりである。2番手は前記のオルフェーヴル、3番手に33.3をマークした16年3着馬ショウナンパンドラが続く。奇しくも"ショウナン"の2頭が、負けて強しの競馬を見せたことになる。

勝ち馬としての歴代2位の上がりは、16年アンビシャスの33.4。3位はそこから離されてた33.8だった02年サンライズペガサス。GⅠ昇格後の勝ち馬で最も速かったのは20年ラッキーライラックで33.9をマーク。同馬の父はオルフェーヴル。つまり、GⅡ時代とGⅠ時代の最速上がりは親子で保持していることになる。ちなみに、オルフェーヴルの全兄ドリームジャーニーも09年の大阪杯を制している。

種牡馬としての成績ではサンデーサイレンス、ディープインパクトの産駒がともに6勝でトップ。ステイゴールド産駒はドリームジャーニー、オルフェーヴル兄弟の2勝のみだった。

それでも絶大なる存在感を示しており、今後もステイゴールドの血を引く馬たちが再び驚くような走りをこの舞台で見せてくれることがあるかもしれない。そう感じるファンも多いことだろう。

今年は除外対象ではあるが、ナカヤマフェスタ(父ステイゴールド)の血を引くバビットが参戦を予定している。出走してくるならアッと驚く激走を見せてくれるかもしれない。ディープインパクト産駒からはキラーアビリティとプラダリアが出走予定。ほかでは、キタサンブラック産駒のソールオリエンスには親子制覇を期待したい。

2年連続で2着に好走したマグナーテン

高松宮記念では香港のビクターザウィナーが3着と健闘。香港と言えば馬産が行われないことから競走馬の多くがセン馬であり、ビクターザウィナーも例に漏れない。

今年の大阪杯にはセン馬の登録はないが、過去のレースを見るとセン馬は14回、うちGⅠ時代に4回の出走があった。このなかで最も着順がいいのはマグナーテン。03、04年と連続2着に好走した。同馬はアメリカうまれのマル外で、名門・藤沢和雄厩舎に所属。デビュー年に勝利をあげられず、翌年にセン馬となり盛岡のダート戦で初勝利をあげた。同年秋にダートから芝路線に替わると、そこから3連勝。その次年となる01年に重賞初挑戦、初制覇を成し遂げた。

03年には大阪杯に参戦。近5走を4勝4着1回(4着はジャパンC)というほぼ完璧な戦績だったこともあり、1番人気に推された。だが結果は、逃げたマグナーテンをマークし2番手を走ったタガノマイバッハにクビ差かわされ2着。以降、11→10→13着と二桁着順が続き、翌年の大阪杯では前年から一転し8番人気の伏兵扱いとなっていた。

04年の大阪杯は、ネオユニヴァース、バランスオブゲーム、アドマイヤグルーヴといった強豪揃いの一戦となったが、マグナーテンは粘り強く逃げ、ラストはネオユニヴァースにアタマ差敗れたものの、1年ぶりの馬券圏内と意地を見せた。メンバー最年長8歳というベテランの強さが光る一戦だった。

今年は8歳馬のカテドラルとハヤヤッコが最年長として参戦。なかでもハヤヤッコはマグナーテン同様ダートから芝に切り替えて重賞を制したという面白い戦歴を持っている。若いダービー馬などに対し、ベテランの強さを見せるのか。今週のGⅠにも注目だ。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。



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