昨秋の日立市庁舎浸水 地下にプール26杯分の水量 河川合流部あふれ原因 茨城

氾濫した平沢川(手前左)と数沢川(同右)の合流部と、その先の暗渠部。奥は日立市役所=2023年9月8日午後6時19分ごろ(市提供)

昨秋の台風13号に伴う大雨で浸水、停電した茨城県日立市役所の今後の対策を議論する市の有識者検討会(座長・木内望国土交通省国土技術政策総合研究所住宅研究部長)は、浸水原因について、庁舎脇を流れる二つの河川の合流部で水があふれたことが原因とする分析結果をまとめた。地下階に流れ込んだ水の量は約1万立方メートル(小学校プール約26杯分)と見込まれるとした。市が25日、明らかにした。

同市では昨年9月8日に線状降水帯が発生した。庁舎西側の数沢川と平沢川が氾濫し、流れ込んだ水により地下1階が最大約130センチ浸水。電源設備が水に漬かり、防災拠点として一時機能不全になった。

市によると、2月13日に開いた第1回検討会では、発生当時や被災直後に撮影された画像と映像を分析。両河川は庁舎脇で合流した直後に暗渠(あんきょ)へ流れる構造になっているが、暗渠部入り口に流木などによる詰まりは確認されず、水があふれた原因は河川の合流部にあると結論付けた。

川の水は合流部で水かさが増し、高さ約2.25メートルののり面を越えて庁舎側に流れ込んだ。水は少なくとも1時間以上にわたってあふれ、地下駐車場進入路の出入り口部分が主な浸水経路となった。地下免震層は約2.3メートル浸水し、浸水量は約1万立方メートルと推計した。

電源設備などがある地下1階機械室には、同階駐車場とつながる扉の隙間や、地下免震層へ通じる点検口から浸水。同じく電気室には、電線を通すための床の穴の隙間から免震層にたまった水が逆流したとみられるという。いずれも浸水対策は行われていなかった。

検討会は今後、河川の合流部の改修方法や庁舎の浸水防止策などを段階的に検討し、6月までに計4回開く。市は検討会の提案を踏まえ9月に庁舎安全対策計画を策定し、本格的な対策工事に入る。

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