ヴェルスパ大分 開幕3試合総括 中央のバランス統制がカギ 【大分県】

「優勝候補の一角」という下馬表からすれば、開幕から3試合の足踏みは想定外であり、チームとして決して納得のいくものではない。JFLのヴェルスパ大分は1分け2敗、勝ち点1で13位と開幕ダッシュに失敗した。

低空飛行の要因は、攻撃陣にある。10年ぶりに復帰したMF福満隆貴が開幕戦であいさつがわりのゴールを決めて、幸先良いスタートを切ったと思われたが、それ以降は福満だけでなくチーム自体に得点がない。3試合で1得点では「ゴール欠乏症」と言われても仕方ない。昨年から決定力不足が課題であり、今季は攻撃の即戦力となる選手を数多く獲得したが、新加入選手で3試合に先発出場したのは、福満とMF鈴木啓太郎の2人だけ。対戦相手や選手の相性などを考慮して、先発メンバーを入れ替えていることからも、山橋貴史監督がベストな形を模索しているのが見てとれる。

第3節でようやく勝ち点1を獲得した

今後の判断材料となりそうなのが、第3節のHondaFC戦だ。この試合は雨でピッチコンディションが悪く、いつものような後方からの攻撃の組み立てや、ボールを保持する時間が少なかった。ただ、MF中野匠が今季初めてトップ下に入ると、福満、MF瓜生昂勢との中盤の3人が、絶妙のポジショニングとバランスで距離感を保った。前線と最終ラインが間延びせずに、相手のロングボールのこぼれ球を回収できる回数が明らかに増えた。そこから、パスの出し手となる福満、瓜生がボールを受ける回数が増え、サイドの選手を交えた攻撃パターンを見出した。

瓜生は「(中盤の3選手が)互いを見ながら『次はどんなプレーがしたいのか』と考えているので、流動的になるし、相手にとってはマークしづらいと思う」と手応えを口にする。シュート数も決定機の数も、試合を重ねるごとに増えている。異なるタイプの選手がそろうFW陣は、全員結果を出せていないが、パスの受け手としてタイミングが合ってきた。あとは選手間でディテールを突き詰めながら、精度を高めたい。

中盤の瓜生昂勢(左)と福満隆貴が浮上のカギを握る

(七蔵司)

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