22歳のシューターは覇権奪還の切り札となるか…トヨタ自動車・平下愛佳「初戦が大事」

「ここ最近は1試合目を落とすことがが多かったので、今週の目標は1試合目からしっかりエナジーを出して勝ち切るということでした。今日はチーム全体でそれをしっかりできたのではないかと思います。個人としても3ポイントシュートを打つことができましたし、意識していた3ポイントシュート以外のところでも点を取ることができたと思います」

3月16、17日と福岡県を舞台に行われたWリーグレギュラーシーズン最終週のトヨタ自動車対ENEOSサンフラワーズ。土日の2連戦のうち、土曜日の初戦に勝利したトヨタ自動車の平下愛佳はこのように試合の感想を語った。

平下は、2月8日から2月11日にかけてハンガリーにて開催された「FIBA女子オリンピック世界最終予選(OQT)」に日本代表として出場。そしてハンガリーから帰国後、再開したWリーグでは8試合すべてでスターターを務めている。そのWリーグでは、一時はシュートタッチの感覚が良くないと感じたこともあったようだが、「ここ最近は練習でも試合でもすごくいい感じにプレーできていると思います」と、コメント。ENEOSとの初戦ではシュートの試投数こそ多くはなかったが、限られたチャンスをものにして9得点。続く2戦目では試合には敗れたものの、平下自身は高確率のシュートで16得点を奪取した。

OQTでは思うように外角シュートが入らず苦しんだが、「3ポイントシュートを打たせてもらえないことや、打ってもシュートタッチが良くなくて入らないというのは、自分としても今まであまりない経験だったので、そこはすごくいい経験になったと思います。シュートが入らないときに、どうやって自分で大会中に調子を上げていくかはこれからの課題だとすごく感じました。それを若いうちに経験できたことは本当にありがたいと感じています」と、ポジティブに捉える。

OQTでは全3試合に出場し4得点。3ポイントは不発だった平下[写真]=fiba.basketball

また、「シュートが入らないことはあると思うので、そこまで入らないことに落ち込んだかといえばそうではなくて、シュートは自分のタイミングで打てるところで打てばいいし、シュート以外のところ、ディフェスなどはいつでもやれることなので、そこを頑張ろうと思っていました」と、3ポイントシュートを求められてはいるものの、シュート以外のプレーにも意識を向けていたとも語った。

そのディフェンスに関しては、「日本の持ち味である足を使ってのディフェンスはできてたと思います」と、チームとしても個人としても手応えを感じたよう。一方で、「細かいローテーションのところや高さとパワーで攻めてくる相手を止められなかったという印象はあるので、そこは修正したいと思います」と、課題も挙げた。平下自身も190センチの選手と対峙し、『これが世界なんだな』と強く感じたそうだ。

日本代表だけでなく、トヨタ自動車でも3ポイントシュートを期待されるポジション。そのため、OQTでの経験はプラスとなっているようで、「国内でも私がシューターということは知れ渡っていると思うし、絶対にボールを持たせないように守ってくることは分かっているので、そこは世界でも国内でも同じだと思います。3ポイントシュートだけにこだわり過ぎず、アシストだったり、違う形で点を取ることだったり、ディフェンスだったり、いろいろなことに挑戦していければと思っています」と、意気込む。

3月30日から始まるプレーオフ。レギュラーシーズンとは異なり、独特の雰囲気の中での戦いとなるだけに、「初戦が大事」と、平下は言う。レギュラーシーズン4位のトヨタ自動車はクォーターファイナルから参戦。まずはセミクォーターファイナル(シャンソン化粧品シャンソンVマジック対アイシンウィングス)の勝者と対する一戦に全力を注ぐ構えだ。

取材・文=田島早苗

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