福島県内の事業者2割、価格交渉できず 「協議申し入れ」6割

 福島県は25日、県内企業が物価やエネルギー価格の高騰などのコスト上昇分を価格転嫁できているかどうかについてのアンケート結果を公表した。価格交渉を実施できた事例がある事業者は全体の約6割で、実施できなかった事業者は約2割に上った。従業員数が少ない事業者ほど価格交渉の協議ができていない傾向が浮かび上がり、県などは関係機関と連携して価格交渉や価格転嫁の機運醸成に向けた取り組みを継続する方針。

 県庁で開いた、関係機関による「価格転嫁の円滑化に向けた連絡会議」で示した。アンケートによると、協議を申し入れ、話し合いに応じてもらえた事業者は58.3%だったが、22.5%の事業者は取引中止を恐れて協議を申し入れていなかった。

 価格転嫁の状況については、コスト上昇分の1~3割程度が37.4%、3~6割程度が21.4%、7割以上を転嫁できた事業者は18%だった。18.9%の事業者は0割とした。アンケートでは、価格交渉の課題も尋ねた。これまでの商習慣や取引相手との関係性、他者との競合や価格交渉、価格交渉の方法や相談窓口が分からないなどの回答が寄せられたという。

 会合では、価格交渉や価格転嫁の環境整備の重要性を改めて共有。企業が適正な価格取引の実施などを宣言する「パートナーシップ構築宣言」制度の普及に加え、県は新年度、宣言企業に対する県補助事業での優遇措置を拡大する。本年度の6事業から11事業で加点措置など優遇措置を設ける。

 県や県内の経済団体、労働団体は昨年9月、生産コストの上昇分を製品などの価格に適切に転嫁し、地域経済の好循環化を図ることを目的とした共同宣言を行っている。

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