朝鮮学校襲撃事件から15年、京都市内で日本人と在日朝鮮人の大学生らが交流 講演などで理解深め合う

フリップに回答を書きクイズに答える学生ら(京都市伏見区・京都朝鮮初級学校)

 京都市南区の京都朝鮮第一初級学校(閉校)が襲撃された事件から今年で15年となるのを機に、日本人と在日朝鮮人の大学生らが交流するイベントが2月17日、京都市内で開かれた。授業見学や講演などを通じ、互いの理解を深め合った。

 朝・日大学生合同プロジェクトトブロin京滋実行委員会主催。トブロは朝鮮語で「共に」「に加えて」という意味があり、日本人と在日朝鮮人の学生らが共に学び合うことに加え、社会がよりよくなるよう願いを込めて企画した。

 イベントは、差別を扇動するヘイトスピーチ(憎悪表現)やヘイトクライム(憎悪犯罪)の解消や日朝友好を築く目的で開かれ、2日間にわたって朝鮮学校やウトロ平和祈念館(宇治市)を巡る。

 初日は約20人の大学生が京都朝鮮初級学校(伏見区)を訪れ、実際に授業を見学して児童と触れ合い、ムン・ボンス校長の講演を聞いた。ムン校長は「在日朝鮮人は日本による植民地支配によって失われた民族の尊厳を今もなお回復している途中で、朝鮮学校は尊厳を取り戻す場所だ」と理解を求めた。

 学生が企画したクイズ大会では「2018年に(北朝鮮の)金正恩委員長と(韓国の)文在寅大統領間で宣言されたのは何か」など、文化や歴史に基づく問題が出題された。

 京都大3年の中村亘さん(22)は「在日朝鮮人がなぜ日本にいるか歴史的背景を知らない限り根本的な解決につながらない」と語り、滋賀県立大4年のキム・リョンホさん(23)も「レイシズム(人種差別主義)の思想がまだ残っており、その状況を打開するためにもまずはどんな問題があるかを知ってもらいたい」と述べた。

 事件は2009年12月4日に発生。押しかけた団体がヘイトスピーチを浴びせ、周辺デモでは差別的な罵詈(ばり)雑言が乱発された。民事訴訟で京都地裁は人種差別と認定、高額賠償を命じ、最高裁で確定した。

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