歴史あるバス路線から撤退、車両に感謝の横断幕 新たな事業者にバトンタッチへ

「ありがとう」の横断幕を付けて出発する園福線のバス。ファンが訪れ、撮影していた(京丹波町橋爪・「桧山」バス停)

 西日本ジェイアールバスは20日、同社による運行を3月末で終える京都府内を走る路線バス「園福線」で、利用者への感謝を伝えるフロントマスク(前面横断幕)を装着した車両を走らせ始めた。1939年に運行が始まった歴史ある路線の区切りに府外からもファンが集まり、車両をカメラに収めていた。

 園福線はJR園部駅―福知山駅を結ぶ51.8キロの路線で、旧鉄道省から旧国鉄、西日本ジェイアールバスと運行が引き継がれてきたが、利用者の減少と運転手不足で同社が今月末で撤退。4月からは運行事業者が中京交通(京都府南丹市)と京都交通(大阪市)に代わる。

 「長い間のご利用ありがとうございました」と記されたフロントマスクを付けた車両が京都府京丹波町橋爪の桧山バス停に現れると、雨の中、ファンらがカメラのシャッターを切った。バス停にある京丹波営業所では限定の「ありがとう乗車券」の販売も始まり、人々が買い求めていた。

 神奈川県から足を運んだ会社員さん(51)は「民間がなかなか走らせないルートを、国鉄時代も運行してきただけにさびしい。路線がなくなるわけでないので、地域のために次の事業者ががんばってほしい」としみじみと話していた。

 30日午前9時半~午後0時半には、バス停の円盤や懐かしのバスグッズ、キーホルダーなどを販売するお別れイベントが同営業所で開かれる。

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