コイ2匹、たちどころに切り身に 雅楽の調べの中、手を触れずに魚さばく「包丁儀式」 秩父神社で30回目に

コイ2匹を切り身にする包丁人=24日正午ごろ、埼玉県秩父市番場町の秩父神社

 日本料理の流派「四條流」の包丁儀式が24日、埼玉県秩父市番場町の秩父神社で行われた。烏帽子(えぼし)や狩衣(かりぎぬ)をまとった包丁人が、手を触れずにまな板の上の魚をさばく、古式ゆかしい包丁式を披露し、見物客たちの目をくぎ付けにした。

 四條流の包丁式は、平安時代に四條中納言藤原朝臣山陰卿がコイを料理したことが始まりで、料理人にとって、日頃の修業の成果を見せる厳粛な場。同神社では毎年3月に儀式が行われ、今回で30回目を迎えた。

 雅楽が鳴り響く中、包丁人は右手に包丁刀、左手に真名箸(まなばし)を持ち、鍛え抜かれた技と流れるような無駄のない動きで、コイ2匹をたちどころに切り身にした。

 四條流頭取の斎藤一義さん(75)は「あっという間に30回を迎えた。若い料理人は減り続けているが、これからも伝統をつないでいきたい」と話していた。

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