組み合ってせり上がる「ふとんだんじり」 伝統をつなぐ人々の熱い思い

広島県三原市でだんじりがぶつかり合う勇壮な祭り「ふとんだんじり」が、24日に行われました。

三原市の常磐神社の春祭り「幸崎能地春祭り」です。コロナ禍の影響で、5年ぶりに行われました。

祭りは、古くから漁業で栄えた能地地区で、豊漁や五穀豊穣を願って、江戸時代後期に始まったとされています。

「神輿の渡御」と呼ばれる巡行に、町内の4つの地区が出した、ふとんで装飾されただんじりが加わり、神社に向かって町内を練り歩きました。

だんじりの中には「神童」と呼ばれる化粧をして着飾った子どもが入り、太鼓をたたきます。

だんじりが神社に近づくと祭りの見せ場がやってきます。重さ約1トンのだんじり同士が組み合って、高くせり上がっていくせめぎ合いに、観客も引き込まれます。

観客「怖い。こっちに来るんじゃないかなと思って」

地元の人「祭りの時はライバル心がある。終わったらあとシャンシャンシャンシャンが分かれば、すべてOK。わーっと盛り上がってすぐシェークハンドでね」

代々受け継がれるふとんだんじり…。担ぎ手となる若者には、特別な思いがあるそうです。

若い担ぎ手「小さいころから大人を見ていて、かっこいい背中をやっと追えるので」

祭りも終盤になるとだんじりのぶつかり合いも激しさを増します。

「せーいのせっ」

だんじりが横倒しになり壊れてしまっても、勢いのまま意地のぶつかり合いを続けます。

「ふとんだんじり」は、伝統を守り続けようという熱い思いを持った人たちが支える勇ましい祭りでした。

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