「犬たちが快適に過ごせるために」中型ミックス犬を中心に保護、都心のシェルターに設けた工夫を聞いた

ここでは、犬と、犬を取り巻く社会がもっと幸せで素敵なものになるように活動している方々をレポートします。

今回は、都心に動物保護シェルターを設立し、多くの犬たちの保護、譲渡のほか、適正飼育の啓蒙にも力を入れる保護団体「東京わんにゃん シェルター&アダプション」の活動を紹介します。

1回目の記事|都心のシェルターでおもに“中型ミックス犬”を保護し、譲渡につなげる代表の思い

犬たちが快適に暮らせる工夫が凝らされたシェルター

明るい日差しが入る広々したシェルター。中央には広いフリースペースがあり、犬同士で交流を深めることもできます

大野真由子さんが代表を務める「東京わんにゃん シェルター&アダプション」は設立から9年がたち、登録ボランティア数は約100人となり、常時10名前後のスタッフがシェルターの運営に携わっています。

実際にシェルターに伺ってみると、犬たちが快適に過ごせる工夫が随所に施されていました。広々とした屋内のフリースペース、ほかの犬とふれあうのが苦手な犬のための個別犬舎、保護犬のためのトリミングルームなどが完備。特筆すべきは、ビル屋上にある広大なドッグランで毎日3〜4回、保護犬たちが思いきり走り回れること。

都会のビルに囲まれた広い屋上では一日に3~4回、保護犬たちが思いきり走り回ります

「屋上のドッグランでは、飼い主さんのためのしつけ教室や、卒業犬たちのアジリティイベントなども開催しています。併設したトリミングサロンは、保護犬たちのケアのほか、有料で卒業犬の飼い主さんや一般の飼い主さんにも利用していただき、シェルター運営資金の一部になっています」と大野さん。

スタッフでトリマーの坂本睦美さんは、ビビリななるとくん(推定10カ月)を怖がらせないよう上手にトリミング

収容中の保護犬たちの多くは、いきいきとした表情でほかの犬やスタッフとの交流を楽しんでいますが、なかにはまだ超ビビリで人の姿を見ただけでそそうをしてしまう犬も。大野さんは長年の経験を生かし、こうした犬たちには、まず人に対する恐怖心が減らせるよう時間をかけて距離を縮めていきます。

「夜はシェルターから自宅に連れて帰り、いっしょの布団で寝ることも」

シェルターで働くスタッフさんによれば、大野さんにかかれば、どんな犬でも最後は人を心から信頼してくれるようになるそうです。大野さんの愛情により、人が大好きになった保護犬たちは、次々と幸せな家庭へと旅立っていきます。

撮影/田尻光久

次回はシェルターを卒業した犬たちの暮らしをレポートします。

出典/「いぬのきもち」2023年12月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/田尻光久
写真提供/東京わんにゃん シェルター&アダプション
取材・文/袴 もな
※保護犬の情報は2023年10月6日現在のものです。

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