モラハラ夫と離婚、子育ても終わった今、無気力状態から抜け出せません。坂東眞理子さんのすっきり人生相談

仕事、健康、人間関係、親の介護、老後のお金……50代からの人生には不安や迷いがいっぱい。そんな私たちに「ウィメン・ビー・アンビシャス。自分で自分の人生に責任と覚悟をもって生きていこう」とエールを送ってくれる坂東眞理子さんが、皆さんのお悩みを解決します。

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©️廣江雅美

プロフィール
坂東眞理子
ばんどう・まりこ●1946年富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。埼玉県副知事、オーストラリア・ブリスベン総領事、内閣府初代男女共同参画局長などを務め、退官。現在、昭和女子大学総長。『女性の品格』『70歳のたしなみ』『幸せな人生のつくり方』など著書多数。

相談 ①
無気力状態から抜け出せない

モラハラ夫とやっと離婚し、大変だった子育ても終わり、自分の好きなことをするぞ!と意気込んでいたものの、何をやっても楽しくありません。念願のひとり旅を予約したのに、億劫になり直前でキャンセルしてしまいました。こんな状態が1年以上続いています。以前のイキイキとした自分に戻れるのでしょうか。(58歳・パートタイム)

「荷下ろし症候群」では? これまで頑張ってきた自分をいたわり、別の楽しみを見つけて

自分で用事をつくり、新しい一歩を踏み出して

頑張って育ててきた子どもが一人前になった、大変な介護を経て親を見送った……。それまで背負ってきた重荷を下ろしてラクになったとき、急に無気力になってしまうことがありますが、これを「荷下ろし症候群」といいます。

相談者は今まで離婚という困難を乗り越え、子育てを頑張り、全力投球してきたのでしょう。だから重荷がふっとなくなった今、戸惑っているのではないでしょうか。今まで頑張ってここまで成し遂げたのはあなたの勲章。これからは自分をいたわり、ぜひ新しい楽しみを見つけてください。

念願のひとり旅をキャンセルしてしまったとのこと。億劫でも行ってみたら楽しかったということもあるので、次は思いきって出かけてみましょう。今までは次々と、やらなければならないことや行かなければならない所がある状態だったと思いますが、これからは自分で用事をつくる必要があります。

まずは気心の知れた友人との温泉旅などから試してみては。そして、もう一度ひとり旅にチャレンジしてほしいと思います。50代は変化の時期。静かにしていたら勝手に力が湧いてくる、なんていうことはありませんから、ぜひ自分で新しい一歩を踏み出してください。そして、ここからまた別の花を咲かせてくださいね。

相談②
地震大国・日本の将来が不安

新年から北陸地方の震災など、痛ましいことばかり起こっています。私は静岡県で、古い木造の戸建てに住んでいます。被災地の映像をニュースで見るたびに、自分の住む町にもいつ地震が起きてもおかしくないと思うと、何もやる気になれません。(70歳・無職)

耐震診断を受けるなど自分にできる対策を

元日に発生した能登半島地震に心を痛めている方も多いと思います。相談者のように自宅の安全性が気になるなら、まずは耐震診断を受けること。そして、もし問題があった場合は耐震補強をしなければなりません。お金はかかりますが、自治体から補助金が出るはずですから、心配するだけでなく行動を起こすことが大事です。

そして、ハザードマップもチェックしてみましょう。ハザードマップは、自然災害時に危険と思われる場所や避難場所などを表示した地図。地震に関しては耐震診断をもとに家を補強できますが、土砂や火山などの災害となると個人では対応しにくいものです。ハザードマップは市区町村ごとに作成されているので、役所・役場でチェックしてみてください。そして、もし自宅が危険性のある地域にあるなら、シニア向け住宅の「サ高住」などに引っ越すというのも一つの選択肢です。

とはいえ、自分の住むエリアが危ないとわかっても、簡単に引っ越すことはできないかもしれません。いざというときにどうするべきかシミュレーションし、行動計画を考えておくことが重要です。

こういうときに私が思い浮かべるのは、「たとえ明日、世界が終わりになろうとも、私はりんごの木を植える」という言葉。心配ばかりしていても仕方ありません。今やれることをやろうと思っても、「明日地震が起きるなら、馬鹿馬鹿しいからやめよう」と諦めるようでは、何もできなくなります。

地震が起きるかも、病気になるかも、会社がつぶれるかも……。将来への不安は尽きません。でも、まだ来ぬ未来を心配して「今」を大事にしないのは、もったいないことだと思います。

大きな災害があると、テレビやネットから流れてくるのは災害関連のニュースばかり。それを見て気持ちが沈んでしまうなら、「しばらくの間、ニュースは見ない」と決めてもいいでしょう。テレビから意識的に離れ、自分の心をストレスから守ることが大切です。

「たとえ明日、世界が終わりになろうとも私はりんごの木を植える」
マルティン・ルター/ドイツの宗教改革者

※この記事は「ゆうゆう」2024年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


熟年離婚したいけれど、まとまった財産がありません。坂東眞理子さんのすっきり人生相談

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