能登半島地震の被災地支援として、県立高教諭で県総合教育センター副主幹の山崎浩之(やまざきひろゆき)さん(49)=小山市=は2月下旬から3月上旬にかけて、金沢市に集団避難している中学生のサポートに当たった。文部科学省の要請に基づく派遣で、避難所で生活する生徒の住環境整備や生活指導に携わった。山崎さんは25日までの取材に、明るく振る舞う生徒たちの姿が印象深かったとし、「本県で有事が起きた際の備えに経験を役立てたい」と話した。
山崎さんは地歴公民科の高校教諭。現在は同センター生涯学習部に所属し、県民向けの研修や社会教育活動を担う。1月下旬、文科省からの被災地の派遣要請を知り、「力になりたい」と手を挙げた。
派遣先は石川県珠洲市と能登町の中学生約140人が集団避難する金沢市内の避難所。2月28日から3月2日までの4日間、支援に加わった。当時はインフルエンザに感染した生徒が複数いたため、食事の配膳や健康観察、部屋の消毒といった対応に従事した。
親元を離れ、慣れない生活を続ける生徒たち。高校入試を控えた3年生には不安を抱える生徒もいた。そんな厳しい環境の中でも、あいさつを欠かさない様子が印象的だったという。
地元の教諭たちは被災者でもあり、「惜しみなく生徒のために働く姿には胸が詰まった」。同時に「万が一のためには(生徒の避難対応などの)ガイドラインを作る必要がある」と体制整備の必要性も痛感した。
山崎さんは「(今回の)経験を生徒や同僚の先生に伝えたいし、機会があれば再度、被災地へ支援に行きたい」と語った。