那須雪崩事故、反省と再発防止策を文書化 栃木県教委、発生7年の27日公表へ

栃木県教委が入るビル

 栃木県那須町で2017年3月、登山講習会中だった大田原高山岳部の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故で、県教委が事故の反省と再発防止策を明記した文書を作成したことが25日、分かった。事故から7年となる27日に公表する見通し。県教委が安全管理に関してチェック機能を果たさなかったことや、教員の安全に対する認識が不足していた点などを事故原因に挙げ「取り返しのつかない事故を引き起こした」と記している。

 雪崩事故を巡っては昨年7月、一部遺族が損害賠償を求めた民事訴訟で県や県高校体育連盟(高体連)に計約2億9千万円の支払いを命じた宇都宮地裁判決が確定した。これを受け、改めて事故を振り返り、反省点などを明らかにしようと文書をまとめた。

 「那須雪崩事故の反省と再発防止に向けた取組」と題した文書は全11ページ。「事故の概要」「民事裁判」「反省」「再発防止に向けた取り組み」の4項目で構成している。

 反省では、17年10月に策定された検証委員会による報告書での指摘を挙げた上で「教育委員会が安全管理体制のチェックを怠っていた」「講習会の主催者である高体連や学校、教員の安全に対する認識の不足が招いた」と明記。講習会が登山計画審査会の対象外だったことや、学校側が活動計画や参加者を十分に把握していなかった点も反省として挙げた。

 高体連に対して適切な指導を行わず「高体連の危機管理意識の低さを見過ごしたことも教育委員会の責任」と認めた。事故後の対応では、遺族らへの説明が不足していたとし「事故の責任を被害者に転嫁していると受け取られるような対応を取るなど、皆さまに寄り添えなかった」と自省した。

 再発防止に向けては、各学校が作成する危機管理マニュアルの見直しや、登山計画審査会の機能強化などを示した。教育活動の一環として実施される登山や宿泊を伴う行事については、他団体が主催するものでも学校が内容を把握し、教育委員会への届け出を徹底するとした。

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