「夏にもう一度対戦したい」八学光星(青森県)、星稜(石川県)に惜敗 同点適時打の山本、雪辱誓う

【八学光星-星稜】3回表、八学光星2死満塁、山本が中前に2点適時打を放ち2-2の同点とする=甲子園

 選抜高校野球大会(センバツ)第6日は25日、甲子園球場で1回戦1試合と2回戦2試合が行われ、青森県の八戸学院光星は2回戦で、昨秋の明治神宮大会を制した星稜に2─3で競り負けた。4番の山本優大右翼手(3年)=大阪府出身=は、センバツで一番対戦したい相手だった星稜の主戦佐宗翼(同)から三回、試合を振り出しに戻す2点適時打を放つ活躍を見せた。4番打者としての重圧に押しつぶされそうな日々を過ごした山本は「負けてしまったが、昨秋のナンバーワン投手から打てて自信がついた。夏の甲子園でもう一度対戦したい」と力を込めた。

 新チーム始動後、仲井宗基監督(53)から「打順が変わることはない」と4番打者を任され「やってやるぞ」と火が付いた。昨秋の公式戦ではチームトップの11打点を挙げ、打率も3割2分1厘と決して低くはなかったが「『打の光星』と言われているチームの4番にしては結果が出せていないと思った。だんだんプレッシャーしか感じなくなった」。

 どのような気持ちで打席に立ったらいいか分からない-。悩み続ける日々を送った山本は東北大会後、昨夏のチームで4番を務めた長谷陸翔に相談した。「強い打球を打つことを心がけて。後悔のないようにフルスイングしてこい」。先輩からもらったその一言で、吹っ切れた。

 25日の星稜戦では、2点を追う三回、2死満塁の好機で打席に立った。1ストライクからの2球目、内角に甘く入った狙い球の直球をはじき返し、中前へ。2人目の走者が本塁へ滑り込んだのを見届けると、一塁上で力強くガッツポーズして喜んだ。

 スタンドから息子を見つめた父耕一さん(47)は「いいところを見せられたのではないか。これからも応援してくれる皆さんへの感謝の気持ちを持ってプレーしてほしい」と笑顔で語った。

 聖地を夢見て、大阪府内の強豪校ではなく「甲子園出場が一番近いと思った」八学光星に進学。昨秋の県大会でスタメン入りしてからは「『打の光星』のはずなのに、投手が注目されて悔しい。自分が打撃で引っ張っていく」と練習のほか、食事やウエートトレーニングにも力を入れ、体も心も一回り大きくなった。

 試合後「秋の東北大会(決勝)での無安打無得点試合に比べると、冬場の練習の成果を出せたと思う」と山本。「投手を助けられるような打撃をして『打の光星』を証明したい」。夏にまた戻ってくることを誓い、甲子園球場を去った。

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