環境省は25日、自然体験を楽しみながら長く滞在してもらう国立公園のモデル事業で、十和田八幡平国立公園・十和田湖地域の休屋・休平地区(青森県十和田市、秋田県小坂町)を第1弾の実施地域に選定した。昨年夏に候補地となって以降、地元関係者が積極的に基本構想をまとめるなど、地域の機運が醸成されているほか、宿泊や体験事業を手がける民間の参画が期待されることが評価された。
2024年度以降、マスタープランの策定や地域の体制整備を進めつつ、拠点となるホテルの誘致を目指す。同地区の基本構想では、25年度に宿泊施設の建設地や事業者の公募要件を検討し、28年度以降の施設着工を見込む。十和田湖や森林を生かしたアクティビティーなど、付加価値の高い体験を提供することで、回復基調にある訪日客を含め訪れた人の滞在を促す。
十和田湖地域では昨年10月、行政、地域の団体・住民、観光関係者などでつくる「十和田湖1000年会議」が発足した。ワーキンググループでの議論や民間事業者への聞き取りを重ね、基本構想が今年3月にまとまった。
同省は休屋地区で、湖畔に残された廃屋の撤去を進めている。宿泊施設の候補地には同省が所管するこれらの跡地も入る見通しで、課題となっている湖畔の土地の利活用が期待されている。青森県選出の滝沢求環境副大臣は「(観光客が減る)冬季を含めて、通年で自然体験を楽しめる拠点になるよう、環境省としても伴走支援したい。住民の機運をさらに高めて第1弾となる取り組みを成功させてほしい」と述べた。
今回の選定は十和田湖地域のみ。他に中部山岳国立公園の南部地域(長野、岐阜)、大山隠岐国立公園の大山蒜山地域(鳥取、岡山)、やんばる国立公園(沖縄)の3カ所がモデル事業の候補地となっている。