《東洋大板倉キャンパス移転 地域と歩んだ27年》①地域活性化研究所長・小瀬博之教授 「今後も地域と交流」

2011年夏に開いた街歩きのイベントでサーモグラフィーを使って多々良沼保安林の表面温度を見る小瀬教授(左)と参加者ら

 群馬県板倉町の「板倉ニュータウン」の中核施設として誘致され、1997年に開学した東洋大板倉キャンパス。これまで住民向け講座の実施など開かれたキャンパスとして地域活性化に重要な役割を果たしてきたが、移転に伴い3月末で27年の歴史に幕を下ろす。関係者に思い出を振り返ってもらった。

 「移転しても板倉町や館林市などで研究が展開できると思う。今後も地域の方々と交流したい」―。

 東洋大地域活性化研究所長の小瀬博之教授(53)は、2月に同キャンパスで開かれた研究活動報告会で思いを語った。

 同研究所は地域課題の解決策を見つけ、活性化に貢献することを目的に2002年、同キャンパスに設置された。同キャンパスの移転に合わせ、新年度からは白山キャンパス(東京都文京区)に拠点を移す。

 そのため、この日が移転前最後の板倉キャンパスでの報告会となり、研究員らが町や館林市など周辺地域で取り組んだ約20年間の研究成果を発表した。

 小瀬教授は08~13年の6年間、同研究所の研究員として、市内の夏の暑さを生かした街歩きのイベントを市と協力して実施してきた。地元児童らに中心市街地や多々良沼の保安林を歩いてもらい、気温測定や暑さの体感評価などに取り組んだ。

 「市の担当者には密にサポートしてもらった。身近なところに研究題材があることを子どもたちに伝えられて良かった」と当時を懐かしむ。

 小瀬教授は研究所の移転について「大学としては交通の便や学生の確保が必要だから仕方がない」と受け止める。地域活性化などを掲げ、町や市、高山村、東吾妻町といった県内自治体と大学が結んでいる連携協定に触れ、「引き続き研究などで(群馬県に)教員が関わることもあると思う。移転で関係が途切れることはない」と展望する。

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