トランプ氏、保証金を1.75億ドルに大幅減額される 資産差し押さえ寸前

マデリン・ハルパート、BBCニュース、米ニューヨーク

アメリカのドナルド・トランプ前大統領は25日、不正行為の賠償金として4億6400万ドル(約700億円)の支払いを命じられた民事訴訟をめぐって、資産の差し押さえを避けるために納付が必要だった保証金を1億7500万ドル(約260億円)に減額された。ニューヨーク州の裁判所が決定した。

トランプ氏の弁護団は、全額の保証金を確保するのは「不可能」だと主張していた。

控訴裁はトランプ氏に、保証金1億7500万ドルを10日以内で用意するよう告げた。

期限内に保証金を納付すれば、控訴している間、トランプ氏の資産は保護される。

トランプ氏はこの日、「決定を大いに尊重する」、「決定に従い(中略)保証金かそれに相当する有価証券、または現金のいずれかを支払う」と述べた。

トランプ氏にとって「勝利」

トランプ氏は今年2月の民事訴訟で、所有資産の価値を過大に申告して不正な利益を得ていたとして、ニューヨーク州地で賠償金の支払いを命じられた。この裁判は、今年11月の大統領選挙で共和党候補となることが確実とされる人物の詐欺事件として注目を集めてきた。

今回の決定は、トランプ氏にとっての勝利となった。この日は保証金の全額4億6400万ドルの支払い期限だった。

仮にトランプ氏が保証金を支払えず、控訴裁も介入しなければ、同氏を詐欺事件で提訴したニューヨーク州のレティシア・ジェイムズ司法長官が、トランプ氏の銀行口座の凍結や資産の差し押さえを開始できていた。

控訴裁はまた、地裁での判決に含まれていた、その他の罰則の執行についても延期した。罰則には、トランプ氏と長男がニューヨーク州でビジネスを営むことの禁止などがある。

一方、トランプ氏のビジネスを監督し、不正が見つかった場合には警報を発することができるモニター制度はそのままにした。

トランプ氏は昨年、現金資産は4億ドルあると証言した。米誌フォーブスも昨年9月、トランプ氏の現金と流動資産は約4億2300万ドルだと、似たような見立てを示した。

トランプ氏の弁護団は先週、保証会社30社に保証金の提供を打診したが、4億6400万ドルを用意することはできなかったとしていた。

(英語記事 Trump wins last-minute reprieve as judge cuts fraud bond to $175m

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