課題も収穫もあったパリ五輪最終予選前、最後のテストマッチ。全体的に見れば不安の残る2連戦に【担当記者コラム】

課題も収穫もあり、有意義だった。それでも、4月のパリ五輪のアジア最終予選前、最後の活動であることを考えれば、不安の残る2連戦となった。

U-23日本代表は国際親善試合で、3月22日にU-23マリ代表(1-3)と、25日にU-23ウクライナ代表(2-0)と対戦。すでにパリ五輪出場を決めている2か国と相まみえた3月シリーズは、1勝1敗で終わった。

敗れた初戦のマリ戦では、2分に平河悠のゴールで先制も、徐々にペースを掴んだ相手に、個々の能力の高さを見せつけられて3失点。前からのプレッシングで全体の押し上げを図る、大岩剛監督が目ざすスタイルがハマっていたのは、開始15分ぐらいまでで、その後は圧倒された。

シュートへの意識の低さ、奪った後のパスの質など、いくつかの課題を改善すべく臨んだウクライナ戦は、マリ戦とは違って長い時間、自分たちのやりたいサッカーを継続して披露できた。

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前線の選手が前から激しくボールを追うことで、相手のビルドアップの綻びを生み、そこで乱れたパスをインサイドハーフの松木玖生と荒木遼太郎が出足の速い守備で奪い切り、攻撃に繋げた。

シュート本数もウクライナの1本に対し、日本は17本とフィニッシュに持ち込む回数も多かった。ただ、それだけチャンスを作りながらも2得点のみ。決定力不足も露呈した。

また今回、ウクライナの選手は国内組が中心で、ベストメンバーではなかった。本気のメンバー構成の相手であれば、結果はまた違っていたかもしれない。

大岩監督がウクライナ戦後、「非常に収穫があった」と語った通り、マリ戦からの修正力は見せられた。しかし、最終予選の本番はすぐ始まる。厳しいアジアの舞台を勝ち抜くには、さらにチームの完成度を高める必要があるだろう。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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