中国、デジタル技術を活用し優良品種の栽培を後押し

中国、デジタル技術を活用し優良品種の栽培を後押し

18日、2024年中国種子(南繁シリコンバレー)大会で展示されたスマート育種管理システム。(三亜=新華社記者/陳凱姿)

 【新華社三亜3月26日】中国では春の耕作シーズンを迎え、海南省三亜市は南繁(北方地域で夏に栽培した水稲などを収穫後、種子を冬に温暖な南方地域に持ち込み栽培、育種する方法)育種の繁忙期となっている。同市で16~20日にかけて開催された2024年中国種子(南繁シリコンバレー)大会では、農作物の新品種が集中的にお披露目され、自動分子育種プラットフォームや作物の表現型情報収集ロボットなど、スマート育種に関連する多くの新設備・機器が発表された。

 同地では毎年冬から春にかけ、極めて好条件の光と熱を利用して育種に取り組むため、研究に携わる科学者らが全国から続々とやって来ており、三亜ではますます高度な育種技術が導入されている。同市崖州区にある中国国家南繁作物表現型研究施設では、約5ムー(約0.3ヘクタール)の実験農地に千以上の大豆とトウモロコシの育種素材が植えられている。研究者の操作の下、ハイスループット植物表現型プラットフォームが軌道に沿ってゆっくりと移動し、レーザーレーダー(LiDAR)やハイパースペクトルカメラ、さまざまなセンサーを使用して、育種素材の集中的な「全身健康診断」を実施する。収集されたデータはリアルタイム送信され、研究者は自分のコンピューターでデータを閲覧・分析できる。

中国、デジタル技術を活用し優良品種の栽培を後押し

三亜市の国家南繁作物表現型研究施設内にあるハイスループット植物表現型プラットフォーム。(2月21日撮影、三亜=新華社記者/羅江)

 中国はここ数年、種苗産業の技術革新を持続的に推進している。植物新品種保護国際同盟(UPOV)が24年中国種子(南繁シリコンバレー)大会で発表したデータによると、23年に中国の植物新品種の保護申請数は年間1万4千件を超えて世界全体の約半数を占め、7年連続でUPOV加盟国・地域中1位となった。衛星リモートセンシング、第5世代移動通信システム(5G)、モノのインターネット(IoT)技術、人工知能(AI)などの新技術の発展とともに、中国の各業界ではデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでおり、優良品種の栽培も加速が見込まれる。

 中国の種苗会社は、先進的なデジタル技術を活用して、優良品種の導入を加速している。陝西省の楊凌農業ハイテク産業モデル区にある中国の農薬・種子最大手、先正達集団(シンジェンタグループ)の楊凌技術センターは多忙を極め、実験室では研究スタッフが何枚ものプレート上に置かれたトウモロコシのサンプルからDNAを抽出し、分子検査を行っている。

中国、デジタル技術を活用し優良品種の栽培を後押し

陝西省の楊凌農業ハイテク産業モデル区にある先正達集団(シンジェンタグループ)の楊凌技術センターにある実験室で働くスタッフ。(1月17日撮影、西安=新華社配信)

 中国科学院院士(アカデミー会員)の銭前(せん・ぜん)氏は「デジタル技術は育種の将来的な発展航路だ」と指摘。現在の種苗産業発展の鍵は、育種素材の供給源のイノベーション効率をより向上させ、バイオ技術と情報技術を統合することで、デジタル化、情報化、スマート化の方向へ育種技術の発展を推進することにあるとの認識を示した。(記者/羅江、陳凱姿、程瀟)

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