「十分な酸素に触れてからみそタンクに入れられた」5点の衣類の血痕 弁護側の法医学者が証言【袴田事件再審第11回公判・速報】

1966年、静岡県の旧清水市(静岡市清水区)で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で死刑が確定している袴田巖さん(88)の再審は3月26日、11回目の公判が開かれました。

午前中は前日に続き、検察側の証人尋問が行なわれました。検察側の共同鑑定書をまとめた久留米大学の神田芳郎教授は、5点の衣類の血痕が黒くなることを阻害し、赤みが残る要因として考えられる酸素濃度の低下について、みその酵母による影響だけでなく、麹によって酸素消費が早くなる可能性があることを証言として加えました。

午後は、弁護団の請求した証人に対する質問が行われました。法医学者で旭川医科大学の清水惠子教授は、検察側の共同鑑定書に反論する形で、酸素濃度の低下はほとんど影響を与えないとして、酸化には十分な酸素量があり、5点の衣類が入れられた麻袋の繊維にも十分な酸素が存在すると証言しました。

また、5点の衣類に染みた血痕は十分な酸素に触れてからみそタンクに入れられ、空気中の酸素ですでに黒ずんだ後にみその原材料が入れられたのではとしました。

その上で、みその原材料にも酸素が含まれていることから、最初から完成したみそが5点の衣類にのせられたかのような説明は不自然、不合理と強調しました。

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