サンマの遺伝情報を公開 福島県いわき市のアクアマリンふくしま 生態分析の手がかりに

 福島県いわき市小名浜のアクアマリンふくしまは、国立遺伝学研究所、北里大などとの共同研究でサンマの全ゲノム情報を読み取り、公開を始めたと発表した。研究成果の論文が国際科学雑誌「DNAリサーチ」に掲載された。今後のサンマの分子生物学的研究の基盤となることが期待される。

 同館は、開館当初の2000(平成12)年からサンマの継代飼育展示などを通じて、20年以上にわたる研究を行ってきた。2022(令和4)年から外部研究機関との本格的な共同研究を開始。サンマを卵から成魚まで網羅している唯一の施設としての役割を果たしてきた。

 研究では、同館で人工ふ化させ約30センチに成長したサンマの成魚を使用。各研究機関の解析などによりサンマの染色体などの断片情報を取得。サンマは同じ硬角魚類のメダカと染色体の構成が維持されてきたことも分かった。

 研究チームは、情報が外洋でのサンマの集団構造や他の生物種との関係、進化の歴史、種を特徴づける形質の成り立ちを知る基礎情報になり得るとしている。

 近年日本でも漁獲量が減少し、高級魚になりつつあるサンマの研究が一歩進んだことについて、同館飼育担当の山内信弥さん(49)は「新たな道が開けたことはうれしい。日本で昔から親しまれてきたサンマを多方面から広く伝えていきたい」と話し、今後のさらなる成果へつながることを願い研究を続ける。

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