国土交通省は26日、公示地価(1月1日時点)を発表した。兵庫県内は、住宅地と商業地の平均がいずれも2年連続で上昇し、伸び率は前年の2倍の水準となった。住宅地は利便性の高い神戸、阪神間などで伸びたほか、地方でも下落幅が縮小した。商業地は新型コロナウイルス感染症の5類移行後、人出が戻った神戸などで回復が加速した。
住宅地は神戸、阪神南で伸び率が2%を超え、阪神北、東播磨とともに3年連続で上昇した。中播磨は下落から横ばいに転じ、他地域も下落幅が改善した。
県不動産鑑定士協会の尾崎潤副会長は「過去5年で上昇傾向が最も強い。建築費が高騰し、都心より住宅価格が安い郊外の需要が高まっている側面もある」と分析。「金利が上昇するとしたら住宅需要が厳しくなることも考えられる。先行きを注視したい」とした。
住宅地の最高価格はJR芦屋駅北側の芦屋市船戸町(1平方メートル当たり71万円)で、上昇率も前年比プラス6.8%と最高だった。
商業地は神戸、阪神南、阪神北、東播磨、北播磨、中播磨の各地域が前年に続いてプラスになり、丹波は下落から上昇に転じた。西播磨、但馬、淡路は下落が続いたが、マイナス幅はそれぞれ縮んだ。
最高価格は神戸・三宮センター街東側入り口周辺の神戸市中央区三宮町1(1平方メートル当たり665万円)で、新型コロナ禍以前には及ばないものの、回復に転じた前年よりも上昇率は高かった。
尾崎副会長は「商業地でもマンション需要が高まるなどの個別要因はあるが、にぎわい回復の影響が大きいのは間違いない」と話している。(岩崎昂志)