文化人ら愛した旧旅館「恋しき」 料亭機能4月から復活 井伏鱒二ちなむ料理提供 広島・府中市

広島県府中市は、旧料亭旅館「恋しき」の料亭機能を4月から復活させます。それを前に懐石料理を振る舞う記念イベントが開かれました。

恋しきは、明治5年(1872年)に旅館として開業、犬養毅 や 井伏鱒二 ら政治家や文化人に愛されました。1990年の廃業後は、企業や個人が出資する運営会社が飲食や物販で事業を担いました。

しかし、老朽化する建物の維持管理が難しいことから事業継続を断念。2020年に府中市が購入してから修繕を続けてきました。

23日は、4月からの料亭機能を担う日本料理店「喜多丘」の 北岡三千男 店主を中心に、料理を振る舞う記念イベントが開かれました。料亭は4月3日からスタートします。水・日曜、祝日で運営し、完全予約制です。

北岡さんらによる懐石料理が振る舞われるということで、料理のみの価格は1万3000円を予定しています。

提供料理にはテーマを持たせます。ゴボウや米など府中市産の食材を使うほか、恋しきを愛した文豪・井伏鱒二 にちなみ、魚のマスを府中みそに漬けた品などを予定しているということです。

この後、北岡さんらによる料理が振る舞われました。招待されたインフルエンサーら10人が風情ある趣とともに、逸品の料理に舌鼓を打ちました。

この日の料理はイベント用に提供された料理で、4月からのものとは異なりますが、八寸には、府中産のアスパラやシイタケ、ゴボウが…。リゾットにも府中市上下町の四八米が使われるなど、地元食材の魅力も堪能したようでした。

日本料理店「喜多丘」 北岡三千男 店主
「(恋しきでの料亭は)ドキドキとワクワク。みなさん期待しておられるので、その期待に応えられるようなお料理を作っていきたいですね」

多くの文化人らに愛された備後のシンボルが再び蘇ります。

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