全国初の「再構築協議会」始まる JR芸備線の存廃を議論 広島県「なぜ維持できないのか説明を」

平行線をたどってきた芸備線をめぐる議論に、道筋は見えてくるのでしょうか。JR芸備線の存廃を議論するため、国が設置した全国初の「再構築協議会」が、広島市で始まりました。

記者
「午前10時前です。芸備線の今後について、国も参加する1回目の会合ということで、会場には多くの報道陣が集まっています」

広島市内のホテルで始まった、全国初の芸備線再構築協議会。国や広島・岡山両県と庄原・新見市といった沿線自治体に、JR西日本の関係者など約20人が参加しました。

利用が低迷している、芸備線の備後庄原~備中神代間。

JR西日本 須々木淳・岡山支社副支社長(当時)
「自治体の皆様としっかり利用促進させていただいて、その結果を踏まえて、今後どうするのかを議論させていただければ」

沿線自治体とJR西日本の間で、今後のあり方などについて3年前から話し合いが行われたものの、議論は平行線をたどりました。そこで今年1月、国が調整役となって沿線自治体とJRが議論する「芸備線再構築協議会」が設置され、3年を目安に存続か廃止か、方針を決めることになったのです。

国土交通省 中国運輸局 益田浩局長
「運営する私たちも、いわば手探りの状態だが、構成員の皆さんと相談しながら、着実に意味のある議論を重ねていきたいと思っている」

26日の1回目の協議会では、沿線自治体とJR西日本の双方が意見を表明しました。JR西日本の広岡研二・広島支社長は、備後庄原~備中神代間では人口の減少率を上回るペースで利用が低迷していると説明し、「大量輸送という観点で鉄道の特性を発揮できていない」と述べました。

JR西日本 広岡研二・広島支社長
「今よりも地域の皆様にとって便利で、持続可能性の高い交通体系の実現に向けた議論をさせていただきたい」

これに対し、広島県の玉井優子副知事は、JR西日本は過去にローカル線の維持が難しくなったと発言したが、なぜ維持できないのか説明してほしいと話しました。

広島県 玉井優子副知事
「(JR西日本の)今年度の業績予想は、連結経常利益が1460億円となっており、民営化初年度である1987年度の単体経常利益80億円、連結初年度である1991年度の717億円と比較して大きく伸びている。なぜ維持できないのか、説明いただくようお願い申し上げる」

沿線自治体とJRで、改めて認識の違いが明らかになった再構築協議会ですが、議長役の中国運輸局・益田浩局長は、「議論の終着点として、地域が納得するような結論になればいいと思う」と語りました。

国土交通省 中国運輸局 益田浩局長
「沿線自治体の『JRに引き続き、運行してほしい』という思いと、JRの『厳しい状況である』認識。相当、溝があるのは事実。議論が平行線のとき、傾いたときにも何もせず傍観する、中立にたつのではなくて、持っているツールをしっかり使って、後押しをしていくということをやりたいと思っている」

協議会は、来年度末までに2回の開催を予定しているということです。

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