再構築協 芸備線の存廃議論始まる 全国初 新見―庄原原則3年で結論

JR芸備線を対象にした再構築協の初会合。利用低迷区間の存廃議論が始まった=広島市中区のホテルメルパルク広島

 岡山、広島両県にまたがるJR芸備線の在り方を話し合う「再構築協議会」の初会合が26日、広島市内で開かれ、利用が低迷している新見市―庄原市間(68.5キロ)の存廃議論がスタートした。昨年10月に協議会制度が導入されて以降、全国初の開催。主催する国が調整役となり、廃線を視野に入れるJR西日本と、存続を望む沿線自治体がそれぞれ主張を述べた。原則3年以内に結論を出す。

 会合には、事務局の国土交通省中国運輸局やJR西の岡山、広島支社、両県、新見、庄原市、芸備線全線の沿線にある三次、広島市、両県バス協会などのメンバー19人が出席した。

 JR西は存廃議論の対象となる備中神代(新見市)―備後庄原(庄原市)間について、1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)が管内最低レベルの48人(2019年度)と、1987年のJR発足時から約9割減っている状況を説明。広岡研二・広島支社長が「大量輸送という鉄道の特性を発揮できていない。より便利で持続可能性の高い交通体系の実現に向けた議論をしたい」と語った。

 これに対し、岡山県の上坊勝則副知事は「芸備線は住民の大切な移動手段。これまで通りJRが運行するのがベスト」と主張。広島県の玉井優子副知事も「潜在需要を掘り起こし、芸備線の可能性を最大限に追求することが必要だ」として鉄路維持を訴えた。

 会合では今後の協議方法や日程も確認。24年度はJRや自治体の実務者レベルの「幹事会」を4回程度開き、鉄路を維持するか、バスなどに転換するかといった具体策を話し合う。最終的な意思決定機関である再構築協は2回ほど開催し、次回は秋を予定している。

 議長を務める中国運輸局の益田浩局長は「鉄道の廃線ありき、存続ありきという前提を置かずに議論する。3年をめどに方針を作成したいが、協議が続く限り3年を超えても打ち切ることはない」と述べた。

 再構築協議会 鉄道事業者か自治体からの要請に基づいて国が設置し、経営難の地方鉄道の存廃について地元自治体と事業者が協議する。国が調整役を務めることで議論を促す狙いがある。昨年10月に制度化。当面は輸送密度が千人未満の区間を対象とする。鉄道の利用促進やバス転換など再構築方針をまとめ、いずれを実行する場合も実証事業を含めて国が財政支援する。

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