東日本大震災から13年…福島・双葉町はようやく「復旧から復興のステージに」被災地のいま

手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。今回の放送では、津波のメカニズムに詳しく、被災地の復興活動にも尽力している東北大学災害科学国際研究所の今村文彦(いまむら・ふみひこ)教授に、「東日本大震災の被災地の現状」について伺いました。

※写真はイメージです

2011年3月11日午後2時46分に、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の大地震が発生し、宮城県で震度7を観測。宮城県、福島県、岩手県を中心に、災害関連死を含む死者・行方不明者は2万2,200人以上にものぼりました。また、この地震では大津波で多くの方が命を落としました。特に、岩手、宮城、福島では巨大な津波が町を襲い、岩手・大船渡市では40メートルの津波が観測されました。

東日本大震災から13年が経ち「東日本大震災を知らない」という世代も増えてきています。また、報道も時間の経過とともに減っているため、被災地の現状について知る機会も減っています。

復興に向けて歩みを進める被災地、福島・双葉町の現状について、今村教授は「災害発生から復興と再生には幾つかの段階があります。 “まず命を守る”初動体制があって、次のステージは“生活を守る”。その次に“インフラを中心に整備する”。さらに、その先のステージがあります。例えば“コミュニティ”、生業がないと地域が存続できないので、人とのつながり(の構築)にはさらに時間がかかります」と話します。

双葉町は、東京電力福島第一原発の事故の影響で、ほぼ全域が帰還困難区域となり、2022年8月に一部で避難指示が解除されました。ただ、解除済の面積は町の約15%。2024年1月の時点で住民登録している人は5,420人いますが、実際に町内で暮らすのは103人ほど。

今村教授は「“復興”は皆さんが思っている以上に時間がかかる。双葉町の復興は、東日本大震災から13年にして、ようやくスタートラインに立ったところ」と言います。

そんななか、約300年前から続く伝統行事の「双葉町ダルマ市」が去年から復活。今年も双葉駅周辺や会場に約2,300個のだるまが並べられて、避難先から訪れた人が赤や黄色、緑など色とりどりのダルマを買い求めました。被災地では、このような被災地に残る文化を後世にどう残していくか、新しい町としてどう復興していくのか、今もなお模索する日々が続いています。

最後に今村教授は、「13年が経ちますけど、本当に国内外の多くのご支援をいただいて、いま復旧から復興および再生のステージになりました。ただ、コミュニティや(人との)つながりなど“皆さんとの協同・協働”というところの課題、そして“心理的な課題であるメンタルのケア”というのも残されています。3.11からの復興はまだまだ続くので、幅広い交流をおこないつつ、皆さんも今後の防災、また事前復興についても考えていただけたらと思います」と話していました。

<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/bousai/

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