小林製薬紅こうじの影響は地方にも…取引企業は自主回収、無関係でも問い合わせ次々「電話対応が大変」

3商品の写真付きで販売休止と商品回収を伝える福山黒酢のお知らせ(同社ホームページから)

 小林製薬の「紅こうじ」原料を含む食品の摂取で健康被害が生じている問題は、死亡につながった可能性がある事例まで判明した。鹿児島県内で取引のあった黒酢メーカーや小売店は26日、商品回収や顧客対応に追われた。紅こうじを使う商品や健康食品への不安も募り、風評被害を懸念する声も聞かれた。

 小林製薬の紅こうじ原料を使用する3商品の販売を22日から休止する福山黒酢(霧島市)。対象の「紅糀(こうじ)黒酢」と「紅糀ドレッシング」(2種)はこれまで計11万4000本を出荷しており、購入者には使用中止を呼びかけ商品を順次回収している。現時点で健康被害は確認されていない。

 26日も商品の安全性や返品の仕方などの問い合わせの電話が鳴りやまないという。津曲晋作社長は「健康を願って商品づくりをしてきたが、自主回収の事態になり、深くおわびする。お客さま一人一人に誠心誠意をもって対応していく」とのコメントを出した。

 県内に84店舗展開するドラッグストアコスモスでは、ほぼ全店で小林製薬のサプリメント「紅麹コレステヘルプ」を取り扱っていた。一部店舗では小林製薬の紅こうじ原料を使う商品の販売もあり、どちらも自主回収の案内があった当日に店頭から回収した。

 紅こうじ商品を製造販売する鹿児島市のメーカーにも問い合わせが相次ぐ。ホームページで小林製薬とは無関係と記すが、担当者は「電話対応が大変」と困惑気味。紅こうじ原料自体を使っていないとわざわざ公表する通販会社もあった。

 紅こうじを利用した焼酎を研究する鹿児島大学農学部の高峯和則教授(焼酎製造学)は「紅こうじといっても、さまざまな菌株があり、ひとくくりで危険とは言えない」と説明する。被害拡大の原因はいまだ不明で「しっかり調査して原因を突き止めてほしい」と話した。

■鹿児島県内では被害報告なし

 小林製薬の紅こうじを使ったサプリメントを摂取した人に健康被害が出ている問題で鹿児島県は26日、ホームページ上で関連製品の使用中止を呼び掛けた。過去に使用し体調不良を感じた場合は、医療機関の受診や保健所への相談を促している。県生活衛生課と鹿児島市によると、これまで被害の報告はない。

(関連)紅こうじ関連商品の使用中止のお願いと自主回収を伝える福山黒酢ホームページ

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