曲水温泉湯煙再び 築200年の古民家ホテルで復活

太い梁が縦横に通う吹き抜け空間に立つ徳山さん夫妻=金沢市七曲町

  ●東京から移住の徳山さん夫妻

 金沢市南東の山あいに位置する「曲水温泉」(金沢市七曲町)が、古民家ホテルとして復活する。昨年、東京から金沢に移住した徳山相哲(そうてつ)さん(42)、菜月さん(30)夫妻が4月27日、築200年の古民家を岐阜県飛騨市から移築、改装して開業する。「温泉、料理、景観で良質なサービスを提供して地域に貢献したい」と話し、隠れた名湯の再開へ、準備にいそしんでいる。

 曲水温泉は、市中心部から車で20分、湯涌温泉の少し手前の天然温泉。一軒宿の「曲水苑」があったが、2015年に閉館した。経営者が温泉の権利を引き継ぐ人を探す中、元中学校教員の相哲さん、会社員の菜月さん夫妻が手を挙げ、移住を決意した。

 2人は以前から飛騨市の「奥飛騨おもちゃ博物館」(2016年閉館)として使われていた古民家の利用を考えており、約1年かけて曲水苑の場所に移築、改装した。

 ホテル名は「Onsen(温泉)&Garden(ガーデン)七菜(なな)」。建物正面の受付から2階のラウンジに至る吹き抜け空間には太い梁(はり)が縦横に通っており、積雪地ならではの強固な構造を伝える。建物は古くても、段差を極力なくしたバリアフリー構造で、床暖房など現代の快適性も備えている。

 温泉の泉質は曲水苑時代同様、山間部ながら海沿いに多い塩化物泉である。浴場はヒバ造りの浴槽、岩造りの露天風呂、信楽焼の浴槽の3種類がある。

 現在は先行開業として、日帰り温泉とレストランを営業し、リピーターも徐々に増えている。徳山さんは「必ずよい所だったと思ってもらえるサービスを提供したい」と話した。

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