公示地価、石川3年連続で上昇 金沢、南加賀に新幹線効果

石川県内で最高価格地点となった金沢市本町2丁目

  ●地震発生前、1月1日時点 能登は下落続く 

  ●南北格差広がる予想

 国土交通省は26日、1月1日時点の全国の公示地価を発表した。石川県内の全用途平均変動率はプラス1.4%(前年プラス1.0%)となり、3年連続で上昇した。金沢中心部や南加賀の商業地で北陸新幹線の県内全線開業を見据えた投資効果が表れ、全体を押し上げた。一方、能登は群発地震や過疎の影響で全市町が引き続き下落。元日の地震は今回の調査に反映されておらず、「南北格差」がさらに広がることも予想される。

 調査時点は1月1日午前0時で、同日午後4時10分に最大震度7を記録した地震の影響は考慮されなかった。不動産鑑定士は今後の奥能登の地価動向について「下落率が拡大する可能性は高い」とした。

 石川の全用途の平均変動率は、新幹線効果もあってコロナからの回復が鮮明となった。2021年はマイナス0.8%だったが、22年にプラス0.3%、23年は同1.0%と持ち直し、今年は上げ幅をさらに広げた。北陸三県では、富山が横ばい、福井がマイナス0.1%で、石川が唯一のプラスだった。

 石川県内の最高価格地点は17年連続で金沢駅兼六園口(東口)に近い金沢市本町2丁目の商業地で、1平方メートル当たりの価格は前年より4万円高い104万円。駅周辺では、更地となっている金沢都ホテル跡で再開発に向けた動きが出ている。

 石川の商業地の平均変動率はプラス1.1%で、前年の同0.3%を上回った。住宅地の上昇率は前年の1.2%から1.4%に伸びた。金沢市と同市近郊を中心に住宅需要が高まり、計8市町で平均価格が上昇した。

 奥能登は、珠洲市飯田町が商業地で全国ワースト1位(マイナス7.7%)、同市上戸町は住宅地で同2位(マイナス8.3%)となった。

 調査は、都市計画区域を定めている17市町(中能登町と宝達志水町除く)の商業地、住宅地、工業地の計228地点を対象に行われた。上昇地点は前年の141から153に増え、下落地点は56から52に減った。

 ★公示地価 地価公示法に基づき国土交通省が毎年公表する1月1日時点の土地価格。土地取引や公共事業の用地取得、固定資産税評価の目安となる。今回の対象地点は全国の住宅地や商業地、工業地など計2万6千地点(うち福島県の6地点は東京電力福島第1原発事故の影響で休止)で、不動産鑑定士が1平方メートル当たりの価格を調べた。土地価格の指標は、都道府県が公表する基準地価(7月1日時点)、国税庁が発表する路線価(1月1日時点)もある。

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