中国の「水外交」が地域の平和・協力促す―米メディア

中国メディアの環球時報によると、米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」は21日、中国の「水外交」が地域の平和・協力を促しているとする記事を掲載した。写真は瀾滄江。

中国メディアの環球時報によると、米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」は21日、中国の「水外交」が地域の平和・協力を促しているとする記事を掲載した。

記事は「持続可能な開発と地域の安定との結びつきが高まっていることから、中国には国境を越えた水管理を地域の平和と協力の出発点として利用する機会がある」とし、「クリーンエネルギー産業は国際的な政治同盟とより同期するために世界戦略を再調整している。世界の鉱物市場とサプライチェーンは変化している。国境を越えた水管理と水力発電開発は、新興の『安全保障と持続可能性の結びつき』の一環として、河岸諸国間の安全保障、政治的、経済的交渉に組み込まれつつある。中国の近隣諸国は、多くの人口のために経済成長をもたらし、それをクリーンエネルギーで実現するという大きなプレッシャーにさらされている」とした。

記事によると、気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」が2016年に発効して以来、この地域の多くの国は、化石燃料を段階的に廃止し、水力発電開発に投資するという圧力の増大に直面している。国内のさまざまなクリーンエネルギー需要と複雑な地政学的立場、外交史、政治文化を考慮すると、中国は一部の国にとって他の国よりも優れたパートナーとなる可能性がある。メコン川下流域の諸国は近年、国内のエネルギー需要のため、中国と協力して水力発電プロジェクトに取り組んでいる。

中国の「水外交」をめぐっては、10年前のある研究で、国内および国際レベルでの制度上の制約により、未発達または無力なままだったことが指摘されていた。国際レベルでは、多国間水・環境協力への中国の関与は2000年代までは極めて限定的なものだったが、時計の針を24年に進めると、こうした状況は明らかに改善されている。

例えばメコン川では、中国は独自の国際協力プラットフォーム「瀾滄江・メコン川協力」を16年3月に発足させた。今年は、同協力に関する第2次五カ年行動計画(23~27年)の2年目となる。国境を越えた水の保全と管理における協力は、ハイレベルの政治安全保障対話、貿易と金融、防災、国境を越えた犯罪、貧困削減と経済発展、エネルギーなど、計画されている包括的な行動の長いリストに含まれている。

中国は、イリ川やイルティシュ川など中央アジアの水路に接続する河川でもロシアなど関係国と幅広く交渉してきた。「一帯一路」構想発足以来、東南アジア、中央アジア、南アジアの一部での国境を越えた水と環境資源の管理も迅速に合理化され、再パッケージ化され、クリーンエネルギーなどの多面的かつ大規模な開発プロジェクトに統合されてきた。東南アジア諸国連合(ASEAN)の多くの国でもメコン川流域に直接関係しているかどうかに関係なく、節水と水力発電の専門家を訓練してきた。

記事は「従来の政府間協力や交渉と比較すると、これらはより漸進的な取り組みであるかもしれないが、長期的な協力のための新たな基盤と合意を構築することを目的としている」と伝えた。(翻訳・編集/柳川)

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