「大谷翔平の記者会見での発言には多くの意味がある」と米記者が見解「新しいことを言わなかったとしても…」

現地3月25日、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平が会見を開き、水原一平氏の賭博問題に言及。「信頼していた方の過ちは悲しく、ショックです」と大きな衝撃を受けたと心境を明かした。

会見で大谷は、スポーツベッティング(賭博)をやっていないこと、他人に賭けを頼んだり、ブックメーカーに対して送金を依頼したことはないと断言。そのうえで、水原氏がギャンブル依存症だったこと、莫大な借金を抱えていることを知らなかったと告白している。

また、賭博サイトに大谷の口座から入金があったという取材に対し、間に入った水原氏がドジャース、球団関係者、大谷本人や代理人サイドなど各方面に虚偽の話をしていた点などにも触れて、「すべてが嘘だったということです」と言葉を絞り出した。最後に「シーズンも本格的にスタートするので、ここからは弁護士の方にお任せしますし、僕自身も警察当局に全面的に協力したい」と語って、会見を切り上げた。

会見の詳細は、世界中のメディアが報道。各地でさまざまな見解の記事がネット上に溢れた。米メディア『FanSided』のコディ・ウィリアムズ記者は、「オオタニの会見は思ったほど、つまらないものではなかった」と好意的に受け止めた。

「確かに目新しい事実は出てこなかった。すでに報じられていた内容を繰り返しただけだった。ミズハラ氏は違法ブックメーカーからの借金を返済するために彼の口座から450万ドル(約6億8000万円)を盗んだ。オオタニ本人はこうした取引をまったく知らなかったし、親しい友人がそんな行為に手を染めたことにショックを受けたと語った」
それでもウィリアムズ記者は、「オオタニが会見を開いて自らの口で語った内容は、多くの人が思っているよりも多くの意味を持っている可能性がある」と示唆した。続けて、米国では“ピッチングニンジャ”の愛称で知られる投球分析家で、弁護士の資格を持つロブ・フリードマン氏の主張を次のように紹介。大谷がはっきりと自信の関与を否定し、水原氏の窃盗行為を明らかにしている。

「フリードマン氏は法的な観点から、オオタニの発言を解明。もし窃盗された側が捜査に協力すると言っても、それが虚偽だった場合、名誉毀損やそのほか多くの刑事訴訟や民事訴訟にさらされる可能性があると語った」

また、野球ジャーナリストのクレイグ・カルカテラ氏の見解も引用した。「カルカテラ氏は、もしオオタニの発言が真実でないなら、ドジャースのスター選手自身にとって大きなリスクになると繰り返した。つまり彼は真実を語っている」とし、大谷の会見には大きな意味があると伝えた。

それでもウィリアムズ記者は、まだ全容は解明されていないとも指摘している。「現状、まだ不明な点がかなり残されている。オオタニは声明を発表した後に、メディアの質問に答えなかったため、記者もアナリストもファンも、多くの疑問を抱えている」としながらも、「今回の会見には客観的な信憑性があるはずだ。彼は壇上に上がって自らの関与を否定し、元通訳に矛先を向けた。たとえ、記者会見後の多くのメディアが“何も新しいことはない”と反応したとしても、オオタニ本人が発した言葉には意味がある」とまとめている。

「オオタニの会見は、思ったほどつまらないものではなかった」と冒頭に書き記したウィリアムズ氏の主張には、このような背景があった。

構成●THE DIGEST編集部

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