震災経験生かし寄り添う 富山県立山町で能登の児童らキャンプ、宮城出身ボランティア「当時の自分たちと重なる」

夕べのつどいを盛り上げる中野さん(右)と小松さん

 今月、富山県立山町などで行われている能登半島地震の被災児童や生徒向けの宿泊体験活動に、2011年の東日本大震災を経験した宮城県気仙沼市出身の大学生2人がボランティアとして参加した。能登で被災した子どもたちと雪遊びやピザ作りなどを通じて触れ合った2人は「子どもたちの姿が当時の自分たちに重なる。震災の経験を生かすためにも、早く動かないといけないと思った」と話した。

 参加したのは中野愛菜さん(20)=尚絅学院大2年=と小松美穂さん(20)=国学院大2年=の幼なじみ2人。東日本大震災当時、小学1年生だった。自宅は無事だったが、学校1階の教室が津波で流された。中学時代もグラウンドに仮設住宅がある中で過ごした。「友人の中には家族も家も失った人がいる。ずっと冷たい空気感があったことを覚えている」と振り返る。

 「リフレッシュ春キャンプ」と銘打った今回の宿泊体験活動は、能登北部の児童生徒に体験活動を通じて心身をリフレッシュしてもらおうと、能登青少年交流の家(石川県羽咋市)が企画した。立山青少年自然の家(立山町芦峅寺)の北見靖直所長が能登の施設所長を兼務している。23~30日の日程で3泊4日ずつ3クールに分け、両施設を会場に実施中だ。中野さんと小松さんは恩師に当たる人が北見所長と交友があり、今回参加した。2人は東日本大震災をきっかけに始まった同様のキャンプに参加したことがある。「震災を経験した自分たちだからこそできることがあるのだと感じた」と話す。

 中野さんと小松さんは1クール(23~26日)に携わった。参加した小学1年~中学3年計50人とともに、立山青少年自然の家で雪遊びやピザ作りなどを一緒に楽しんだ。夕べのつどいで盛り上げ役も務めた。七尾市の中学1年、水道樹さん(13)は「地震のことは大丈夫。みんな元気だった」と話していた。

 中野さんと小松さんは「誰かに寄り添える存在になりたい」「未来を担う子どものためのまちづくりに貢献したい」と語り、また能登の子どもたちに会いに来ることを誓った。

チューブそりを楽しむ参加者

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