奥平大兼、中学受験が自分を変えた「洋服も音楽も」鈴鹿央士の影響でハマったモノ

奥平大兼 撮影:冨田望、スタイリスト:伊藤省吾(sitor)、ヘアメイク:速水昭仁 (CHUUNi)

『さよなら渓谷』『タロウのバカ』の鬼才・大森立嗣監督が、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得て、長澤まさみさんを主演に放った衝撃作『MOTHER マザー』。同作で、長澤さん演じる母の呪縛から逃れられない息子役を演じた奥平大兼。奥平さんは、初めてのオーディションで勝ち取ったこの役でセンセーショナルなデビューを果たし、第44回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。また昨年はドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』で、改めて大きな注目を集めた。まだ20歳にして大器の予感たっぷりの奥平さんが語るTHE CHANGEとは。【第4回/全4回】

昨年9月に二十歳を迎えた俳優・奥平さん。評判を集めた松岡茉優さん主演のドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』や、現在公開中で鈴鹿央士さんとW主演を務める映画『PLAY!〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜』など、役柄としては、高校生を演じることが多いが、謎めいたり憂いを帯びたキャラクターも多く、年齢にとらわれない雰囲気もある。

そんな奥平さんを大きく変えたTHE CHANGEといえば、デビュー作『MOTHER マザー』にほかならないが、俳優であることを意識せず、奥平さん自身を変えた出来事となると、何になるだろうか。

「僕、小学校から中学校に入るときに受験で私立に行ったんです。だから地元の子たちみんなとはバイバイすることになってしまったんですけど、逆に言えば新しい友達ができました。私立なので、僕も含め、みんな色々なところから来ていたんですね。だからそこで本当に刺激を受けたんです」

――友達との出会いがTHE CHANGEだったと。

「そうです。友達と初めて洋服を買いに行ったのも、中学に入ってからです。渋谷とか原宿とか。すごい背伸びして。今まで地元だけで生きてきたので、外の世界は何も見たことがなかったんです。それが都会に出て“うわー”っていろんなものを見て。そこから洋服も好きになりましたし、音楽も友達がバンドをやっていたので、そのことをきっかけに聴くようになりました。趣味や好きなものとか、いろんなものが友達をきっかけに増えました」

――その頃のお友達とは今も関係は続いているのでしょうか。

「続いてますよ。ずっと仲がいいです。今でもよく遊びます。周りにいる友達の影響ってすごく大きいと思っていて、僕の人生の中でとても大きなチェンジだったと思います」

SNSには自分の言葉で書いています

――ちなみに最近よく聴いている音楽をひとつ挙げるなら?

「K-POPかな。そこは(鈴鹿)央士くんと小倉史也さんの影響です。ふたりがK-POP大好きで。ずっと流しているから自分も自然と聴いちゃって、面白いなと思うようになったんです。今まで僕が聴いていた音楽は、音がたくさんあるものだったんですけど、K-POPって音が異常に少ないんですよ。でも聴き心地がよくて何回も聴いちゃう。これまで全然触れてきていなかったので、ちゃんと聴いてみると面白いんだなって。自分からだと聴かなかったと思うんですけど、ふたりからの影響ですね」

――ところで奥平さんは、ご自身の言葉でInstagramを更新されています。本当にご自分で書いているのが伝わってきます。

「変に着飾りたくなくて。もちろん載せる前に、事務所の方に一応目は通してもらいますけど、それだけで自分の言葉で書いています。普段、僕のことを応援している人が、僕自身のことを知る場所って、InstagramとかSNSくらいしかないので。そこで格好つけておしゃれな写真とか、いやそれも本当はできたらいいなとは思いますけど(笑)。僕はできないので、だったら自分らしいものを載せていこうかなと。普段、暗い役とかも多いので、僕自身暗い人に思われがちなんですけど」

――全然違いますよね。特に『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』の共演者のみなさんとはとても仲がよさそうで、楽しそうでした。

「なので、僕を知ってもらえるきかっけになればいいかなって。たまに誤字脱字とかもありますけど(笑)、そのままの僕で応援していただければと思います」

友達との出会いやInstagramの誤字脱字についても、そのままに語ってくれた奥平さん。俳優としては、映画ファンからの支持も厚いTAMA賞にて、“最も飛躍した俳優、もしくは顕著な活躍をした新人俳優”に贈られる2023年度の最優秀新進男優賞を『あつい胸さわぎ』『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』『ヴィレッジ』『君は放課後インソムニア』の4作の評価により受賞している。「そのままの僕で応援」もなにも、その未来には、もはや期待しかない。

奥平大兼(おくだいら・だいけん)
2003年9月20日生まれ、東京都出身。2020年、『MOTHER マザー』で長澤まさみ演じる秋子の息子・周平を演じてデビュー。同作にて第44回日本アカデミー賞新人俳優賞、第94回キネマ旬報ベスト・テン 新人男優賞、第63回ブルーリボン賞新人賞、第30回日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞した。2023年度は、『あつい胸さわぎ』『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』『ヴィレッジ』『君は放課後インソムニア』にて第15回TAMA映画賞最優秀新進男優賞に輝いた。ほか主な出演作に映画『マイスモールランド』『パレード』(Netflix)、ドラマ『恋する母たち』『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』など。鈴鹿央士とW主演を務める映画『PLAY!〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜』が公開中。

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