今季の米LPGAツアーには、近ごろ何かとお騒がせの“ロシア”からの選手がルーキーとして参戦している。そんな彼女の詳細に突撃!
ロシア美人でもマイアミ出身? 注目のルーキー ナタリヤ・グセバ
米LPGAツアーの第1戦「ヒルトングランドバケーションズTOC」は、過去2年間の優勝者のみが出場できる試合なので、シード権をもつルーキーたちは第2戦の「ドライブオン選手権」が開幕戦となる。その大会には、昨年の予選会を勝ち抜いた西郷真央なども出場したが、私は“ナタリヤ・グセバ”という新人に興味があって追ってみた。
グセバは、ちょっと変わったバックグランドをもつ。出身はロシアのモスクワで、年齢は20歳。3年前の17歳のときに渡米し、現在もマイアミに拠点を置くが、渡米後にロシアがウクライナへ侵攻したことにより、欧米各国から制裁を加えられる情勢となってしまった。
「アメリカにいるロシア人」という難しい立場にいるが、現在もフロリダ州のマイアミ大学に通う大学生で、今年はミシェル・ウィーなども受けていたオンライン授業を受講しながらツアーを転戦し、単位取得を目指している。
グセバに話を聞いてみると「たしかに政治情勢としては大変な状況ですが、自分のゴルフと生活を切り開いていくだけ。ガンバります!」と、ツアーに参戦できることへのよろこびを終始ほがらかに、流暢な英語で話してくれてとても好感がもてた。
LPGAはIOCの規定に従い、現在ロシア選手は“個人参加”という建前になっているため、会場にはロシアの国旗を掲げることはできない。ネットの組み合わせ表やリーダーズボードの隣にも、選手の国籍の国旗がつくが、グセバの名前の隣は空欄になっている。
また、試合日は各選手がティーオフ(スタート)する際に、名前と出身国が告げられるが、グセバは「ナタリヤ・グセバ。フロム・マイアミ!」とアナウンスされた。
スタッフに確認すると「トーナメントから渡された紙に従ってアナウンスしました。ナタリヤは“マイアミ・フロリダ”と書いてありますね」と、手に持ったアナウンス表を見せてくれたが、これはトーナメントが示した気遣いらしい。初戦、グセバは見事に予選を通過。
49位タイでフィニッシュし、ルーキーとしては上々のスタートを切った。グセバの活躍には今後も注目したい。
いかがでしたか? 海外からも注目の新人選手が多く進出してきています!プレーに期待しましょう!
フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。
取材・写真=田辺安啓
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE
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