ホンコンシュスラン発芽 東南アジア原産 自生地外はまれ 茨城・筑波実験植物園

ショクダイオオコンニャクの株元で発芽したホンコンシュスラン=つくば市天久保

茨城県つくば市天久保の国立科学博物館筑波実験植物園で、洋ランの仲間ホンコンシュスランの発芽が初めて確認された。同植物園によると、ホンコンシュスランは東南アジアの森林に自生し、特定の菌から栄養を受け取って発芽する。自生地以外で自然に芽を出すことは珍しいという。

熱帯雨林温室を見回りしていた職員が3月上旬、「ショクダイオオコンニャクの横に変な芽が出ている」と報告した。ランを研究する同植物園の多様性解析・保全グループの遊川知久グループ長が駆け付け、目を凝らして見たところ、巨大なショクダイオオコンニャクの株元に小さな芽が出ていた。葉脈に金色の縦線が走る独特の模様で、ホンコンシュスランと気付いた。遊川グループ長は「まさかと思った。とても驚いた」と振り返る。

同植物園によると、種は非常に軽く、風に乗って遠くまで飛ぶが、自生地以外で発芽するのはまれ。発芽に必要な共生菌があまりいないためだ。芽生えが確認された場所は、ホンコンシュスランが植えられた場所から約2メートル離れていた。

同じ熱帯雨林温室にあるショクダイオオコンニャクは、2023年に国内で初めて結実・種子発芽に成功した。遊川グループ長は「奇跡のコラボレーション。芽吹いた場所も面白いと感じた。成長を見守りたい」と話す。

大きさは左右の葉の端から端まで約4~5センチ。当面は現在の場所で見られる。今後、ショクダイオオコンニャクの土を入れ替える時に取り出して移植する予定という。

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