1874(明治7)年2月、佐賀の乱(佐賀戦争)に参戦した旧小城藩士薬王寺寛生は懲役3年の刑を受け、現在の徳島県の監獄に収監された。5月から翌年12月にかけて獄中から家族に宛てた書簡24通が残っており、収監中の心情、生活や待遇、家族との関係、収監者を支える小城藩士族の動きなどが書かれている。
1通目の書簡は5月12日付で、約21×10センチの紙片におよそ500文字がびっしりつづられている。監視をかいくぐり、5月になってようやく出すことができたと思われる。「時の勢い衆人のため心命を相掛け候」と蜂起した心情を述べている。一方で、「家禄の義はこれ無く候えども、士族の名なりとも相存す」と、家禄はなくなるだろうが士族の身分が続くように願っている。
小城市立歴史資料館では、薬王寺寛生書簡24通や関連資料を展示し、佐賀の乱前後の小城地域の情勢や人々の活動を紹介している。戦いに身を投じ、処罰を受けなければならなかった旧小城藩士の包み隠さない気持ちが24通の書簡にはつづられている。ぜひ、ご覧ください。(小城市教育委員会文化課・田久保佳寛)
▽「獄からの24通-小城隊小隊長がみた佐賀の乱-」
5月12日まで、小城市立歴史資料館企画展示室。月曜と4月30日、5月3、7日は休館。入場無料。