住宅、商業地32年ぶり上昇 三重県内公示地価、工業地は2年連続

【住宅地の地価が11年連続で県内トップの津市大谷町】

 国土交通省は27日付で、令和6年の地価を公示する。経済活動の活発化を背景に、三重県内の平均変動率は住宅地、商業地、工業地のいずれも上昇。住宅地と商業地は32年ぶり、工業地は2年連続の上昇となる。

 ■住宅地

 前年はマイナス0.2%だった平均変動率は0.2%と、プラスに転じた。都道府県の順位としては、3つ上げて26位。前年は117地点だった上昇地点は143地点に増えた。

 調査対象となった25市町のうち、前年より4市町多い10市町で変動率が上昇。いなべ市は初の上昇、東員町は32年ぶりの上昇となった。下落は前年より2市町少ない15市町だった。

 1平方メートル当たりの平均価格は、前年比300円増の3万8500円。最高価格は津市大谷町で、2.6%(3千円)増の11万9千円。平成26年の選定以降、11年連続でトップとなった。

 ■商業地

 マイナス0.3%だった平均変動率は、0.2%とプラスに。全国順位は2つ上げて26位。前年は28地点だった上昇地点は55地点に増えた。下落は16地点減の33地点。

 1平方メートルの平均価格は前年比500円増の6万9200円。最高価格は四日市市諏訪栄町で、4.8%(2万円)増の43万6千円。昭和62年から38年連続でトップとなっている。

 調査対象となった20市町のうち、8市町で平均変動率が上昇。このうち、津、鈴鹿、亀山、川越の4市町が32年ぶりに上昇に転じたほか、伊勢市と菰野町でも4年ぶりに上昇した。

 ■工業地

 平均変動率は1.6%で上昇の幅は前年から0.5ポイント拡大した。全国順位は26位で、前年と同じ。調査対象となった24地点のうち、22地点で上昇。下落地点はなかった。

 平均価格は400円増の2万2700円。最高価格は四日市市午起2丁目で2.1%(800円)増の3万8900円。国道23号へのアクセスの良さから、23年連続でトップとなった。

 調査対象の7市町全てで変動率が上昇。松阪市は平成3年以来、33年ぶりの上昇となった。四日市ジャンクションの周辺は引き続き需要が高く、中南勢でも内陸部は改善している。

 県内で調査の代表幹事を務めた片岡浩司不動産鑑定士は「バブル崩壊から長く続いていた地下の下落が落ち着いた。商業地を中心に土地の取引が活発化し、地価は改善している」と話す。

 地域ごとの状況については「北中部での上昇は継続し、松阪市や伊勢市などの南部でも上昇地点が増えている」としつつ「過疎化や高齢化が深刻なエリアでは底を打っている」と語る。

 今後の見通しについては「投機的な取引ばかりだったバブルの頃とは状況が全く違う。資材費が上がり、経済が不透明な中で、土地の取得には慎重。短期的には上昇傾向は続くだろう」と話す。

 地価公示は国交省が定める標準地の地価(1月1日時点)を公示する制度。土地取引や固定資産税算定の目安となる。県内では34人の不動産鑑定士が25市町の432地点を調べた。

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