ヤフコメの「再審制度」評価は 高校生が理解度など分析 大崎事件を題材に

ポスターを使って研究成果を発表する生徒たち

 滋賀県日野町で酒店経営の女性が殺害され金庫が奪われた「日野町事件」を巡って大阪高裁が再審開始を認め、静岡一家4人殺害事件で袴田巌さんの再審公判が行われるなど、再審制度に注目が集まっている。こうした中、京都市右京区の嵯峨野高の生徒4人が再審制度に関する市民の意識をテーマに研究成果をまとめ、他の生徒たちを前に発表した。。

 同高の2年生は、関心のあるテーマについて実習や実験をしながら1年かけて研究を深める「探究活動科目」を履修する。前年度も法学分野の生徒が再審を巡る法改正を課題に選び、「多くの市民が関心を向けることが重要」と提言した。

 この研究を発展させようと、4人が再審法を巡る課題の理解度を調べることにした。

 4人は、ニュース配信サイト「ヤフーニュース」のコメント欄に着目。鹿児島で男性遺体が見つかった「大崎事件」の再審請求棄却を報じる記事に付いた142個のコメントを分析した。

 その結果、再審制度に肯定的な意見は8%に過ぎず、32%が否定的だったことが判明。再審制度の必要性を否定する内容のほか、冤罪(えんざい)被害者の支援を批判する内容も多かった。再審制度と三審制を混同するなど、制度そのものへの理解が及んでいない現状があることも分かったという。

 さらに、同高の1、2年生を対象にアンケートを実施したところ、再審制度の存在自体は知っているものの、内容を理解しているとする回答は半数以下にとどまった。また、「自身や知り合いが冤罪被害者になる可能性がある」との意識を持った回答が少なかったことから、4人は「冤罪を身近に感じる体験的な学習が必要」と報告した。

 発表を聞いた生徒も関心を抱き、積極的に4人へ質問していた。発表した女子生徒は「昨年度の報告を聞いて、自分が冤罪被害者になった時の危機感を覚え、今の状況を変えないといけないと思った。多くの人に知ってもらえれば」と話した。

 研究に協力した日弁連再審法改正実現本部長代行の鴨志田祐美弁護士(京都弁護士会)は「斬新な発想で取り組んでもらえた。法改正を抽象的に訴えるのではいけないと気付かされた」と称賛していた。

再審制度について研究した生徒たち=京都市右京区・嵯峨野高
ポスターを使って研究成果を発表する生徒たち

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