中心街の再開発が上昇に寄与/県内地価

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県内商業地で地価の上昇率がトップだった青森市新町1丁目「旧青森国際ホテル南方」周辺

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 26日発表された県内公示地価は、商業地は中心街の再開発が進む青森市や八戸市で上昇が顕著に表れた一方、弘前市は全体的に土地の売買が低調で中心部では下落が続いた。住宅地は3市を中心に区画整理が行われた地点で上昇が目立った。

 県内商業地で上昇率トップの青森市新町1丁目「旧青森国際ホテル南方」は、前年の横ばいからプラス5.0%と大幅アップに転じた。2023年4月、同地点から近い旧中三青森店跡地に複合商業施設「THREE(スリー)」がオープンするなど、中心市街地の再開発が地価上昇に寄与した。新型コロナウイルスの影響による中止期間を経て開催された青森ねぶた祭や、クルーズ船の寄港再開を受けて観光客が増え、店舗用物件の需要が高まったことも追い風になった。

 青森県の地価公示代表幹事である久保田聡・不動産鑑定士は「コロナ禍で停滞していた投資の動きが出ている」とみる。

 前年はマイナス0.8%だった八戸市中心街の三日町は0.0%の横ばいとなった。隣接する十三日町で百貨店の三春屋が22年4月に閉店したが、旧チーノはちのへ一帯では再開発事業が進み、マンションやホテルなどが整備される予定で、中心街活性化につながると期待されている。商業施設が林立する八戸環状線沿いの田向2丁目の「市民病院北西方」はプラス2.1%で、市内商業地で最も上昇率が高かった。

 このほか、周辺でホテルの建設が進む三沢市中央町3丁目がマイナス0.3%から横ばいに改善した。

 一方、弘前市の商業地は下落が続く地点が多く、全体的に土地売買の動きが鈍い。同市の不動産鑑定士で国土鑑定研究所の森政浩代表は「人出の回復が思わしくないなど、コロナ禍の後遺症を引きずっている」と指摘する。市中心部では閉館した上鞘師町のホテルニューキャッスルの買い手がつかず、周辺の物件の動きも乏しいという。

 県内住宅地のうち、青森市西大野3丁目「青森南高校東方」はプラス6.8%と2年連続で上がり、上昇率が最も高かった。久保田聡・不動産鑑定士は、区画整理に伴い同地点の住宅需要が旺盛になったと説明。「(同市の)浜田地区などと比べると、市街地からの距離はそれほど変わらないが、地価に割安感があり高い上昇を示している」と分析する。

 弘前市も区画整理が終わったエリアで住宅需要が高まっている。変動率が0.0%からプラス2.9%になった八幡町2丁目は、区画整理済みで人気のある青山地区のすぐ南に位置する。元々細長い空き地が多かった若党町も、正方形に近い土地に分割して売り出し、2.0%上昇した。同市の森政浩・不動産鑑定士は「旧市街地の方が割安感があり、売れる動きが出てきている」と話す。

 八戸市は尻内町鴨ケ池の「三条保育園西方」がプラス4.9%。同地区は八戸駅西側に広がる通称「駅西地区」にあり、土地区画整理事業が進んでいる。昨年8月には住民念願のスーパーマーケットがオープン。12月には市保留地にフィットネスクラブを核としたスポーツ施設の進出が決まり、今年5月には東北最大級のトランポリン施設が開業を予定するなど街の動きが活発化している。

 五所川原市の平均変動率はプラス0.7%からプラス2.1%に向上。大型ショッピングセンター「ELM(エルム)」周辺の新興住宅地の需要が堅調に推移し、地価を押し上げた。

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