青森県八戸圏域8市町村のバス、10月値上げへ 平均15.9%、人口減や運転手賃上げなど要因

 八戸圏域地域公共交通活性化協議会(会長・吉田樹福島大学准教授)の会議が26日、八戸市庁で開かれ、圏域8市町村を運行する路線バス事業者3社の運賃を平均15.9%値上げする案が示された。沿線人口の減少や運転手の賃金水準の適正化、燃料などコスト上昇が要因。改定は今年10月を予定している。

 同圏域で路線バスを運行している市営バス、南部バス(岩手県北自動車)、十和田観光電鉄の3社共通の運賃は、利便性向上と利用拡大を目的に2011年10月に導入。当時は(1)初乗り150円(2)50円刻みで加算(3)八戸市内上限300円(4)圏域内上限500円-でスタートし、実証実験を経て13年10月に本格実施した。19年10月の10%への消費税率引き上げに伴い、初乗り、上限運賃をそれぞれ20円値上げした。

 今回の値上げは(1)初乗り190円(2)60円刻みで加算(3)市内上限370円(4)圏域上限610円-とする方針。バス事業者の経営改善や過度な利用者負担を避けるなど双方の視点に配慮した。利用者が多い初乗り区間の値上げ率は11.8%に抑える。1日乗車券や市営バスの「ワンコインバス」なども値上げする。

 上限運賃などを定めた3社共通の運賃体系は維持する。

 運賃改定の趣旨について、地域交通が専門の吉田会長は取材に「広い八戸圏域の日常の移動にバスが選ばれる環境をつくるため、11年に上限運賃制度を導入した。一方、今は賃上げをしないと運転手が集まらない。燃料代や部品代も格段に上がった。上限運賃制度は残しつつ利用者の負担で持続可能なバスサービスを展開していくため」と答えた。

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