青森県内公示地価、28年ぶり上昇 青森、弘前、八戸市の一部地区で大きな伸び

県内商業地で地価の上昇率がトップだった青森市新町1丁目「旧青森国際ホテル南方」周辺

 国土交通省と青森県が26日発表した県内の公示地価(1月1日時点)は、前年と比べた土地の値動きを表す変動率が、住宅地や商業地などを合わせた全用途平均でプラス0.1%となり、1996年以来28年ぶりに上昇に転じた。新型コロナウイルス禍での土地取引の停滞がほぼ解消された上、住宅地の区画整理や市街地の再開発を背景に青森、弘前、八戸の3市の一部地区の地価が大きく伸び、全体を底上げした。

 全用途の変動率は前年のマイナス0.3%から0.4ポイント改善。1平方メートル当たり平均価格は前年比200円高の3万100円で、コロナ禍前の19年と同額だった。過去最高は1993年の9万1500円。

 用途別に見ると、住宅地の変動率は0.1%のプラスで前年から0.4ポイント上がり、25年ぶりに上昇した。平均価格は2万4400円で前年比200円増。市部が前年の横ばいからプラス0.4%に転じた一方、町村部はマイナス0.9%と、前年(マイナス1.1%)からわずかな改善にとどまった。

 地点別の最高価格は青森市浜田2丁目「イトーヨーカドー青森店東方」の8万3100円で11年連続。上昇率1位は、同市西大野3丁目「青森南高校東方」の6.8%だった。

 商業地の変動率はマイナス0.1%で32年連続で下落したが、下げ幅が前年から0.5ポイント縮小した。平均価格は4万8千円(前年比100円増)。市部はプラス0.2%(前年マイナス0.4%)、町村部はマイナス1.6%(同マイナス1.7%)だった。

 最も高かった地点は青森市新町1丁目「成田本店」の19万6千円で12年連続。上昇率は同市新町1丁目「旧青森国際ホテル南方」が5.0%でトップとなった。

 工業地の変動率はプラス1.1%で、平均価格は1万5100円だった。

 調査は県内10市16町2村の計266地点を対象に実施。前年から継続して調査した263地点のうち、変動率が上昇したのは71地点、横ばいは88地点、下落は104地点だった。

 青森県の地価公示代表幹事である久保田聡・不動産鑑定士は、今後の見通しとして「住宅地は建築費高騰の影響もあり、価格がさらに上向くか不透明。商業地は青森駅東口ビル(青森市)が今春開業するなど再開発の動きがまだあり、上がる可能性はある」と語った。

© 株式会社東奥日報社