さいたま、川口が上位を独占…埼玉の公示地価、全用途で上昇 住宅地の需要は県北部にも波及

埼玉県内における各上位地点

 国土交通省は26日、2024年1月1日時点の埼玉県内公示地価を発表した。用途別平均変動率は住宅地がプラス2.0%(前年は同1.6%)、商業地がプラス2.4%(同1.6%)でいずれも3年連続、工業地はプラス3.2%(同3.1%)で11年連続で上昇した。

 調査は県内1301地点(住宅地1032、商業地223、工業地44、林地2)で実施。全用途とも08年(住宅地同3.7%、商業地同6.0%、工業地同5.7%)以来の高い伸び率となった。

 住宅地1032地点の中で上昇したのは昨年の660地点から746地点(73%)に増加。市町村別平均変動率では上昇が昨年の33市町から37市町に拡大。三郷市や吉川市など都心に隣接する地域を中心に県北部にも需要が波及している。

 価格は「さいたま市浦和区高砂2の2の6」が8年連続で1位。1平方メートル当たり118万円だった。2位は「さいたま市大宮区下町1の62の1外」で同99万8千円。変動率では価格1位の「さいたま市浦和区高砂2の2の6」が9.3%でトップだった。次いで「川口市芝東第3の169の11」の8.8%。浦和、大宮、川口など京浜東北線沿線各駅の徒歩圏で生活利便性の高い地点で上昇した。

 商業地は223地点中172地点(77%)で上昇し、昨年の136地点から約1.6倍に増えた。

 最高価格は大宮駅西口のソニックシティ南側、ベルヴュオフィス大宮ビルがある「さいたま市大宮区桜木町1の8の1」。1平方メートル当たり418万円で33年連続1位だった。次いで「さいたま市大宮区仲町1の37の1外」の248万円。

 変動率では価格1位の「さいたま市大宮区桜木町1の8の1」が10.3%と県内全調査地点で唯一、2桁の伸び率となった。大宮駅周辺の繁華性の高い地点や川口駅周辺の商業集積度が高まっている地点の伸びが目立った。特に再開発事業などの進展が期待される地域やマンション用地と競合する地域で上昇した。

 工業地は首都高速道路や東京外環自動車道(外環道)に近い交通利便性の高い地点を中心に根強いインターネット通販需要に支えられ、物流拠点の用地で変動率が拡大した。調査44地点全てで上昇した。

 伸び率が最も大きかったのは「川口市東本郷1の7の6」の6.7%。2位は「川口市青木4の26の38」の6.4%。上位4地点を川口市内が独占した。価格は変動率2位の「川口市青木4の26の38」が1平方メートル当たり23万3千円の最高額を記録。16年から9年連続で1位となった。

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