犬がみせる『可愛いけれど危険な行動』4つ 実は注意が必要な仕草や行動に潜むリスクとは

1.後ろ足で立ち上がって歩く

飼い主さんにかまってもらいたいときや、おもちゃやおやつが欲しいときに、後ろ足だけで立ち上がってアピールする犬がいます。なかには、そのまま歩いたり、後ろ足だけでピョンピョンとジャンプしたりする犬もいますが、これらの行動は注意が必要です。

ドッグダンスやサーカスの技のひとつとして、立ち上がって歩いたり玉乗りをしたりといった動きを見せる犬もいるため、そのイメージで「可愛い行動」と思っている人も少なくないでしょう。

特に、体重が軽く体が柔軟なトイプードルなどはこうした行動を取ることがめずらしくなく、そのひょうきんな姿を写真や動画で残している飼い主さんもいると思います。

しかし、この姿勢は四足歩行の動物の体に大きな負担をかけます。股関節や腰、背骨に負荷がかかりやすく、脱臼やヘルニア、骨折などを引き起こす可能性があります。特に膝蓋骨脱臼や股関節形成不全などを患っている犬は、このような行動をあまりさせないように注意しましょう。

2.お尻歩き

犬がお尻を地面にこすりつけるようにして移動する「お尻歩き」は、多くの犬がする可能性のあるものです。

一見ユニークな動きで、つい笑ってしまう人もいるかもしれませんが、実はこれも注意が必要です。

犬がこのような行動をしているとき、お尻に何らかの異変を感じていることが考えられます。

排泄の直後であれば、一時的に残便感が残っているだけのこともありますが、頻繁におこなっている場合は「肛門嚢炎」になっていたり、腸内に寄生虫がいて肛門に不快感が出ていたりすることが考えられます。

すでにお尻付近の疾患やトラブルを抱えている場合もありますし、お尻歩きを続けることで肛門や陰部が傷ついてしまうこともあるでしょう。頻繁にこうした様子が見られたら、体をチェックしてあげてください。

3.お尻を左右に振って歩く

犬が歩くとき、お尻を大きく振るようにして歩いていると、何だかキュートに見えてしまいますが、実は体に異変が起きているのかもしれません。

レトリバー種をはじめとした大型犬に多く見られますが、歩くときにお尻を大きく振っていたり座るときに足を横に流していたりする場合、股関節に疾患やトラブルを抱えている可能性があります。

最も多く考えられるのが「股関節形成不全」で、先天的なものもありますし、発育段階で骨格に変形や歪みが発生してしまう場合もあります。放置すると悪化する可能性が高いので、歩き方や座り方に違和感を感じたら、一度動物病院で検査してもらうことをおすすめします。

4.頭をいつも傾けている

犬は飼い主の方を見て、首をかしげて話を聞くような仕草をすることがありますが、それが頻繁におこなわれていたり、常に頭を傾けていたりする場合は注意が必要です。

慢性的に頭を傾けている場合、耳に痛みや不快感を感じていたり、三半規管や脳神経に異常が生じていたりする可能性があります。なかには、頭を振る様子が多く見られることもあるので、これらの様子が見られたら一度動物病院で相談してみてください。

また、犬が壁や床に頭(またはおでこ)を押しつけるような行動を見せている場合は、特に注意してください。これは「ヘッドプレス」と呼ばれる行動で、脳の視床部分や中枢神経が損傷していたり、脳腫瘍や脳卒中が起きていたりするときに見られます。

この場合はすぐに動物病院を受診して、適切な処置・治療を受けましょう。

まとめ

犬のユニークで可愛い行動を見ると、つい笑ってしまったり、ほっこりとした幸せな気持ちになったりしますよね。

また、飼い主さんが笑っていると、犬もうれしい気持ちになって同じ行動をくり返すこともあります。

基本的には微笑ましく見ていて問題ないことが多いと思いますが、なかには疾患やトラブルが要因になっていることも。

気になる場合は、ぜひ一度動物病院で相談してみてください。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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