中国工業部門企業利益、1─2月は10.2%増 景気回復の加速示唆

[北京 27日 ロイター] - 中国国家統計局が27日発表した1─2月の工業部門企業利益は前年同期比10.2%増加した。不動産セクターの低迷が続いているにもかかわらず、景気回復の勢いが増していることを示唆している。

2023年通年は2.3%減だった。

INGの大中華圏チーフエコノミスト、リン・ソング氏は「年初の鉱工業生産が上振れサプライズとなった後、さらに工業部門利益が回復したのは、(経済が)昨年の底入れを経て実際に緩やかな回復を遂げていることを示す新たなシグナルだ」と指摘。

「製造業の回復が続けば、今年の成長率目標達成に寄与する。ただ、勢いを維持するにはなお追加の支援策が必要だ」と述べた。

1─2月利益は国有企業が0.5%増、外資系企業が31.2%増、民営企業が12.7%増だった。

中国光大銀行のアナリストは工業部門利益の増加が続くと予想しつつ、世界的な需要見通しを巡る不確実性やエネルギーなど商品価格の変動、地政学的緊張に伴うサプライチェーン(供給網)の混乱が見通しに悪影響を及ぼす可能性もあると述べた。

中国の内需が幅広く回復するかどうかもまだ不透明だ。電気自動車(EV)用電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)が今月発表した23年第4・四半期(10―12月)決算は22年第2・四半期以来の減益だった。

景気低迷が長引く中、中国人民銀行(中央銀行)副総裁は先週、銀行の預金準備率(RRR)引き下げなど金融政策に十分な余地があるとの認識を示した。

統計局は春節(旧正月)の時期の違いによるゆがみをならすため、1月と2月のデータを合算して発表している。

工業部門企業利益統計は、主要事業の年間売上高が2000万元(278万ドル)以上の企業を対象としている。

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