さらば一夜漬け 「灘高式」アプリでスケジュール管理お任せ 高3生が開発 期末考査の悩みヒントに

アプリ「myPOMO(マイポモ)」を紹介する開発メンバー。左から児玉大樹さん、高島晟輔さん、梅田航太郎さん=神戸市東灘区魚崎北町8、灘高校

 学校のテスト勉強に宿題、志望校の受験対策…。さまざまな課題に追われがちな中高生たちに、効率的な勉強のスケジュールを自動で作成するアプリを、全国有数の進学校として知られる灘高校(神戸市東灘区)の3年生5人が開発している。卒業後もデザインなどの改良を重ね、6月の完成を目指す。もう一夜漬けをせずに済むかもしれない「灘高式」のスケジュール管理法とは-。(勝浦美香)

 「自分たちで何かアプリを作りたいな」。一昨年の夏、高島晟輔(じょうすけ)さん(18)と田中優希さん(18)の会話をきっかけに、関心を持った5人が集まった。

 共通していたのは、期末考査前の悩みだった。例えば、同校では計15科目のテストを6日間で実施する。対策のための予定を早めに立てようとしても、「科目ごとの勉強法や取り組むべき優先順位など、考えなければいけないことが多すぎる」という。

 「結局は一夜漬けになり、後半は息切れしてボロボロ。『次こそちゃんとやろう』と毎回思う」「自動でスケジュールを立てられる仕組みがあればいいのに」。そんな切実な声から、今回のアイデアが生まれた。

     ◇

 「myPOMO(マイポモ)」と名付けたアプリで基本にしたのが、「ポモドーロテクニック」と呼ばれる手法だ。25分間ずつ集中して学習し、その後5分間の休憩を取る。これを繰り返すことで、集中力をうまく分散させて勉強を続けられるという。

 田中さんとプログラミングが得意な児玉大樹さん(18)、当時パソコン研究部の部長だった星川大瑛(ひろあき)さん(18)が、この手法に基づいて最適なスケジュールが組まれるよう設計した。

 使い方は簡単だ。まず、自分の空き時間ややるべき課題と締め切り、大体の所要時間、優先度などを入力する。暗記系など毎日の繰り返しが必要なものや、過去問題を解くなどまとまった時間をかけて取り組む課題があれば、各項目にチェックを入れる。

 あとは、アプリが自動で組んだ予定に沿って課題をこなすだけ。時間内に終わらなかった場合は、進捗(しんちょく)具合を入力するとアプリが予定を組み直してくれるという。

     ◇

 アプリの基本部分は既に完成しており、メンバーらは昨秋、全国の中高生が競う「アプリ甲子園」にこのアイデアで出場。独創性などが評価され、見事3位に入賞した。

 5人は受験や進学の準備の合間を縫って試行錯誤を続けてきた。デザインは高島さんと、生徒会活動でデザインを担当していた梅田航太郎さん(18)が担当。現在は、大手企業のウェブサイトやアプリが採用するデザインを研究するなどし、ストレスを感じることなく利用してもらうための改良を進めている。

 「予定管理が苦手な僕たちが一番このアプリを待ち望んでいるかも」と笑う高島さん。「中高生にはやらなければいけないことも、やりたいこともたくさんある。勉強は量より質なので、ぜひアプリを使って効率的に予定を立ててほしい」と呼びかける。

 アプリ「マイポモ」は、アップルの基本ソフト「iOS」などを使用する端末向けに無料で配信する予定。開発の進捗や配信予定の詳細を知らせるメーリングリストへの登録もできる。

© 株式会社神戸新聞社