公示地価発表 長崎県、全体的に持ち直し傾向 全ての市町で横ばいか上昇 2024年1月1日時点

 国土交通省が26日発表した1月1日時点の公示地価によると、長崎県内の「住宅地」「商業地」「全用途」の全ての対前年平均変動率で3年連続プラスを維持した。全用途の変動率は0.9%で、前年の0.6%から拡大。住宅地、商業地共に上昇幅が広がった。自治体別でも全ての市町が横ばいか上昇となり、全体的に持ち直し傾向がみられた。
 県内の標準地は北松小値賀町を除く263地点。このうち選定替え5地点を除く住宅地165(前年166)地点の内訳は、上昇104(同95)、横ばい12(同16)、下落49(同55)。商業地は選定替え2地点を除く76地点(同76)で、上昇56(同52)、横ばい2(同3)、下落18(同21)。

 ▽住宅地
 最高価格は「長崎市上西山町2の22」の1平方メートル当たり28万9千円で22年連続。対前年上昇率は「長崎市伊良林1の9の2」の5.4%が最も高かった。平均価格は同4万3900円(前年比千円増)。
 長崎市は前年の1%から1.3%に上昇。利便性が高い平地の需要は依然強く、中心部と周辺地域の高価格帯住宅地が堅調に上昇している。物価高や資材価格高騰で中古物件を買う動きや郊外住宅地の需要も増えつつある。
 佐世保市は前年の1.1%から1.5%に上昇。市街地周辺の住宅地に加え、宅地開発の影響で北部、南部地区でも需要が回復している。諫早市でも利便性の良好な市街地などの需要回復で1.8%(前年1%)に上昇。ただ両市とも利便性の劣る郊外で下落傾向が続いている。
 大村市は2.4%(同1.9%)に拡大。人口増と西九州新幹線開業で堅調な需要を維持している。
 西彼長与町は1.7%(同1.5%)、同時津町は2.5%(同2.1%)で長崎市のベッドタウンとして、いずれも人気が高い。佐世保市へのアクセスが向上した北松佐々町は2%(同1.8%)に上昇した。

 ▽商業地
 最高価格は「長崎市浜町3の25」(眼鏡市場)の1平方メートル当たり97万7千円で10年連続。対前年上昇率は「長崎市宝町5の9」(宝町ビルディング)の5.4%が2年連続で最高だった。平均価格は同15万3800円(前年比3500円増)。
 長崎市は2.6%(前年2.3%)上昇。マンション開発の中心だったJR長崎駅周辺の需要はやや一服し、長崎スタジアムシティの建設が進む同駅北部地域の需要が高まっている。佐世保市は上昇率1.7%(同1.4%)に拡大。四ケ町アーケード商店街は再開発への期待感から需要が回復傾向にある。
 大村市は1.9%(同1.6%)と上昇傾向が続く。人口増を背景に、需要は路線商業地を中心に高く、特に規模の大きな商業地は旺盛。諫早市も1.3%(同0.9%)と拡大した。

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