乃木坂46奥田いろはがジュリエットに! 同期と先輩から祝福を浴び、初舞台に挑む

2001年にフランスで生まれ、世界20か国以上で600万人以上を動員したメガヒットミュージカル『ロミオ&ジュリエット』。日本では小池修一郎演出により2010年に宝塚歌劇団によって初演され、その大反響を追い風に2011年に誕生したのが、このミュージカル『ロミオ&ジュリエット』〈日本オリジナルバージョン〉だ。その後、上演のたびに注目を集め、このたび2021年以来3年ぶり6度目の上演が決定した。

2024年公演のジュリエット役に抜擢されたのは、吉柳咲良と奥田いろは(乃木坂46)。奥田は2017年および2019年上演時にジュリエット役を務めた生田絵梨花(当時乃木坂46)のあとを追って、念願のジュリエット役を射止めた。NewsCrunchでは今回、奥田にインタビューを敢行。初舞台・初ミュージカルに挑む心境を語ってもらった。

両親のおかげで私は歌を好きになれた

――まず最初に、『ロミオ&ジュリエット』にジュリエット役での出演が決まったときの気持ちを聞かせてください。

奥田 「夢みたい!」と思いました。私は乃木坂46に加入してから、いろんな舞台作品を観に行くようになり、観れば観るほど憧れが強くなっていきました。でも、最初は全然うまく歌えなくて。そこから毎日歌って練習するようになり、だんだんと歌えるようになってきたんです。その練習が報われたと思うと、とてもうれしかったです。

――どういった歌の練習をされましたか?

奥田 私は小さい頃から歌が大好きで、J-POPをたくさん歌ってきました。ただ、ミュージカルはまったく未経験だったので、ゼロからのスタートでした。発声の仕方から全部変えて、とにかく毎日お家で歌っていました。その結果、音域は広がったと思います。

――歌に関しては、乃木坂46の活動を通して得られた部分もきっとあると思います。

奥田 そうですね。以前は“ただ歌を歌っている”という感じだったけれど、今は音楽に感情を乗せることを意識しています。歌詞の意味を理解し、それを伝えたいという気持ちで歌えるようになったことで、最近は「表現力が豊かになったね」と褒めていただくことも増えました。乃木坂46の活動では1人で歌う機会はそんなに多くはないので、今回のミュージカルではたくさん聴いてもらえるぶん頑張らなきゃと思っています。

――ちなみに、小さな頃から歌には自信があったんですか?

奥田 「自信がある」とは言えないけれど、大好きです。そもそも私、昔は歌がとても下手だったんです。だけど、両親は決して「下手なんだからやめて」とは言わず、自由にのびのび歌わせてくれました。だからこそ、私は歌を好きになれたのかなって思います。

――ジュリエット役はオーディションで決まったと伺いました。オーディションに臨んだときの気持ちを聞かせてください。

奥田 この作品にはとても興味がありましたし、タイミングもちょうど合い、いろいろな運命の巡り合わせでオーディションを受けることができました。私としては「オーディションに行けること自体がすごいことだ!」と思い、緊張する状況ではあるけれど、楽しんで歌おうと思って臨みました。

――オーディションはどういった内容でしたか?

奥田 課題曲は(劇中歌の)『バルコニー』と『ジュリエットの死』。どちらも曲の中で感情の変化があり、難しい曲でした。オーディション中は、練習してきたことを辿るのではなく、その場の感情で歌おうと意識しました。課題曲を歌い終わると、その場で「ここはもっとこんな気持ちで」「ここはこう歌うんだよ」と、ご指導をいただいたんです。それを聞きながら「今学んでいることを全部吸収して持って帰ろう!」と思っていました。

Wキャスト・吉柳咲良の印象は「面白い姉貴」

――『ロミオ&ジュリエット』という作品とジュリエットという役について、どのようなイメージがありますか?

奥田 『ロミオ&ジュリエット』のイメージは「究極の愛」。愛にはいろんな形があり、いろんな伝え方があって、そのなかには悲しみや憎しみも含まれている。それらがギュッと詰まった作品だと思います。ジュリエットに関しては第1幕から第2幕にかけて大きく成長するイメージがあるんですけど、第1幕のジュリエットと自分はちょっと似ているなって。深い愛や深い悲しみをまだ知らず、夢見がちなところは自分と似ていると感じました。

――(取材日時点では)稽古はまだ始まっていないとのことですが、ロミオ役とジュリエット役の4人で会って話をされたそうですね。印象はいかがでしたか?

奥田 率直な印象は「皆さんよく笑う方々だな」と(笑)。とても温かい雰囲気で空気感も似ていて。私は普段、人見知りをしてしまうタイプなんですけど、今回は初対面でも喋ることができて、これからもっと仲良くなれそうだなと感じています。お互いにあだ名を決め合って、例えば同じジュリエット役の吉柳咲良ちゃんのことは「さくねぇ」と呼ばせてもらっています。

――最初にあだ名を決め合ったというのは、どういう流れでそうなったのですか?

奥田 私は人見知りなので、まず呼び名を決めないと話し掛けることもできないし、うまく喋れないんです。なので、その対策として最初に「『さくねぇ』って呼んでいいですか?」とあだ名を決めさせてもらいました。ちなみに、私のあだ名は「ろは」に決まったはずなんですけど、今日、さくねぇからは、ずっと「いろは」と呼ばれています(笑)。

――吉柳さんはどんな印象ですか?

奥田 さくねぇは本当に面白い! 私は初対面だと緊張してしまうけど、さくねぇがたくさん喋ってくれるおかげで、まだ出会ったばかりだけど早くも心の扉を8割くらい開いています。今日も一緒にお弁当を食べたりお話をして、とても楽しいです。そして、私にないものをたくさん持っていて、内面的にも、服装などもかっこよくて、さくねぇと私は真逆かなと思っています。

――「さくねぇ」と呼ぶくらいなので、吉柳さんは「頼りになるお姉さん」という印象でしょうか。

奥田 そうですね、年齢は1歳しか変わらないけれど姉貴感があります(笑)。

――ロミオ役の小関裕太さんと岡宮来夢さんの初対面時の印象は?

奥田 お二人とも「ロミオだ~!」と思いました(笑)。優しくて大らかで面白くて、包み込んでくれるような雰囲気のある方です。あと、ロミオには少し“天然”な部分があると思っているんですけど、お二人にもそれに似た部分を感じました。

同期が涙を流して喜んでくれた

――ジュリエット役が決定し、乃木坂46のメンバーからはどんな反応がありましたか?

奥田 ジュリエット役の合格発表は、同期の子たちと一緒にいるときに聞きました。同期のみんなは「いろはがそんなに頑張っていたなんて知らなかった! 本当に頑張ったんだね」と喜んでくれて、盛大に祝福してもらいました。みんな「観に行くね」と言って、応援してくれています。いい同期に恵まれ、すごく幸せです!

――ステキな同期の絆ですね!

奥田 はい! 冨里奈央ちゃんは大泣きしながら喜んでくれたし、「さつまいろ」といって菅原咲月ちゃんと五百城茉央ちゃんと私の同級生トリオがあるんですけど、私の合格祝いとして3人でご飯にも行きました。井上和ちゃんは、お祝いのお手紙といい匂いがするフレグランスをプレゼントしてくれました。

――先輩方からの反応はどうでしたか?

奥田 先輩の皆さんからも祝福のお言葉をたくさんいただきました。中村麗乃さんから「おめでとう」と言ってもらえたのはとてもうれしかったです。誰もが憧れる帝国劇場に立って素晴らしいお芝居をされている麗乃さんのことを、私は尊敬しています。また、岩本蓮加さんとは今までなかなかお話しする機会がなかったんですけど、「ジュリエット役、本当におめでとう! 実はいろはのこと、ずっと前から好きだったんだよ」と連絡をくださって、それもすごくうれしかったです。

――岩本さんからは、YouTubeの企画(乃木坂配信中「先輩から5期生へ!乃木坂46逆バレンタイン大作戦♪」)でもプレゼントをもらっていましたよね。奥田さんは梅澤美波さんからも賛辞を送られ、先輩からの信頼の厚さを感じました。

奥田 もう本当にありがたいです! あのときは、まさか自分が(プレゼントを)もらえるなんて思っていなかったので「えっ、私ですか!?」とびっくりしました。

――乃木坂46から一歩外へ出て個人での活動になりますが、心境はいかがですか?

奥田 グループでの活動では、良くも悪くも周りの方がたくさん支えてくれています。でも、外に出た以上「しっかりしなきゃ」という意識がとても強いです。自分一人でも成立させなきゃ、という緊張感があります。

――ちなみに、今も緊張されていますか?

奥田 今日はすでにたくさんの取材を受けているんですけど、先ほどの取材では私一人に対して記者さんが大勢いらっしゃって、机の上にはたくさんのレコーダーがずらり。ものすごく緊張しましたし、「外に出てお仕事をするってこういう感じなんだ」と実感しました。インタビュー動画の収録でも「変なこと言わないようにしなきゃ」と必死で(笑)。でも、だんだん緊張がほぐれてきて、今は喋るのが楽しくなってきました!

――それはよかったです(笑)。では改めて、初舞台に懸ける思いを聞かせてください。

奥田 今はまだ期待と不安が半々です。でもこれから、世界中で愛されている『ロミオ&ジュリエット』を皆さんにしっかり届けて、皆さんの心を動かすことができるように精いっぱい頑張りたいです。きっと(過去にジュリエット役を演じた)生田絵梨花さんと比べられることもあると思うけれど、私なりのジュリエットを皆さんにお届けできたらと思っています。

――『ロミオ&ジュリエット』を通して乃木坂46に貢献したい、という気持ちもきっとあると思います。

奥田 はい、あります。作品を通して「ジュリエット役の子、いいじゃん! 乃木坂46の子なんだ!?」と思っていただき、グループに興味を持っていただけたらいいなと思っています。また、私のファンの方のなかには「今までミュージカルは観たことがないけど、今回初めて観に行くよ」と言ってくださる方もいるので、私の存在がたくさんの方々の新たな興味のきっかけになれたら。そして、私自身のことも多くの方に好きになっていただけたらうれしいです。


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