【特別対談】川崎アカデミーの先輩・後輩、FC東京の仲川輝人と川崎の脇坂泰斗が語る多摩川クラシコへの決意「意地、プライドがある」

川崎アカデミーの先輩・後輩であり、横浜から移籍したFC東京で昨季からプレーする仲川輝人と、今季から川崎のキャプテンを務める脇坂泰斗の特別対談が実現。43回目を迎える伝統の多摩川クラシコ(3月30日/15時/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu)への想いを語り合ってくれた。

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1992年生まれ、31歳の仲川輝人。

1995年生まれ、28歳の脇坂泰斗。

ちょうど3つ違いの彼らは、ともに川崎のアカデミー出身ながら、脇坂が中学3年生で川崎U-18入団を決めた際、仲川はすでに高校年代の最高学年で卒業間近。

「テルさんが高校3年生の時に練習に2、3回参加させてもらったんですが、覚えています?」

「全然覚えていない(笑)」

そんなやり取りに仲の良さが窺えるふたりが、再び等々力のピッチで川崎とFC東京のキーマンとして相まみえるのだから、何かの縁を感じずにはいられないだろう。

なおかつ、舞台は伝統の多摩川クラシコである。

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シーズン38試合の内のひとつ、されど、1試合以上の価値がある。それが多摩川を挟んだライバル同士のプライドを懸けたこの一戦である。ふたりもその重要性を理解している。

「様々な企画もそうですが、いろんな意味で大事な試合。サポーターの熱量もそうですし、数々の歴史もあるビッグゲーム」(脇坂)

「皆さんが思っている以上に気持ちの入った試合。チームと言いますか、会社と言いますか、そういったクラブ全体に関わる試合だと思う」(仲川)

川崎は前節、鹿島に9年ぶりに敗れるなどリーグ3連敗中で、1勝3敗の15位。

FC東京は前節、福岡に敵地で24年ぶりとなる白星を挙げ、今季初勝利を手にして、1勝2分1敗の10位。

威信を懸けた負けられないゲームであると同時に、ともに浮上のキッカケを是が非でも掴みたい一戦でもあるのだ。

「ともに望んでいる結果が出ていないので、シーズン終えた時に、この多摩川クラシコからだよねと言えるようなゲームにしたい」(脇坂)

「福岡戦でポゼッション、パスワークの兆しが見えたので、川崎さん相手にどれだけできるか。お互い、いろんな意地だったり、プライドがあると思うので、早く試合がしたい。その想いが強いです」(仲川)

ちなみに通算成績は川崎の22勝9分11敗。

昨季は1勝1敗で、それぞれホームゲームで勝利を手にしたが、FC東京が開催した国立競技場での試合では、脇坂の仲川へのスライディングがVARで危険なタックルとして判定されて一発退場する一幕もあった。

あのプレーを笑顔をで語り合うふたりに遺恨はないが、互いに意識し合うのは当たり前なのだろう。

「フロンターレにいる者として、アカデミー出身者に点を取らせないようにしたい。一番乗らせたくない選手」(脇坂)

「中盤を支配されたくないと、僕は思っているので、一番重要なのは彼(脇坂)なのかなと」(仲川)

共通している想いは「観ている人たちを楽しませるゲーム」である。

もっとも攻撃に重心を置いた両チームであるが、そう易々と失点するわけにはいかない。そのうえで、全力で、華麗に殴り合いに行く。

Jリーグの魅力がここにあるという熱い内容に期待したい。

■試合情報
J1・5節
3月30日(土)15:00キックオフ
Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
川崎フロンターレ×FC東京

■選手プロフィール
なかがわ・てるひと/1992年7月27日生まれ、神奈川県出身。161㌢・57㌔。新町ジュニアーズSCー川崎スペシャルクラスー川崎U-15ー川崎U-18ー専修大ー横浜ー町田ー横浜ー福岡ー横浜ーFC東京。J1通算171試合・39得点。J2通算30試合・3得点。日本代表通算2試合・0得点。19年にはリーグMVP&得点王に輝く。

わきざか・やすと/1995年6月11日生まれ、神奈川県出身。173㌢・69。FC本郷―エスペランサSCJrユース―川崎U-18―阪南大―川崎。J1通算150試合・26得点。日本代表通算4試合・0得点。3年連続でベストイレブン入りを果たす。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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