【特別対談】FC東京の仲川輝人と川崎の脇坂泰斗が挙げる“多摩川クラシコ”のポイント。互いに警戒すべき選手は?

川崎アカデミーの先輩・後輩であり、横浜から移籍したFC東京で昨季からプレーする仲川輝人と、今季から川崎のキャプテンを務める脇坂泰斗の特別対談が実現。43回目を迎える伝統の多摩川クラシコ(3月30日/15時/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu)への想いを語り合ってくれた。

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1勝3敗で15位の川崎と、1勝2分1敗で10位のFC東京が、3月30日に迎えるのが伝統の多摩川クラシコである。

ともに攻撃面に特長のあるチームであり、クラブの威信を懸けて打ち合いになることも多い、期待のゲームである。

ともになかなか調子の上がらない現状において、復調のキッカケを掴むためにも負けられない一戦。そのなかでふたりはポイントをこう挙げる。

「お互い、目指しているのがポゼッション。でも、ポゼッションしているだけじゃ結果意味がない部分もあるので、僕らのスタイル的には、速い攻撃も大事になってくるだろうし、まだ失点もゼロに抑えられていないので、ゼロに抑えながら、点を取っていくところが大事だと思います」(仲川)

「僕らは両ゴール前に課題があります。ただ、失点が多いから守備が悪いかというと、攻めている時の配置だったり、リスク管理だったり、攻撃と守備はつながっていると思うので、攻撃でやり切る、逆に守備で言えば守っている時に奪った後のことを考えられるか、そういったところは一緒だと思うので、(多摩川クラシコへの)2週間で詰めていきたいです」(脇坂)

そして警戒すべき選手を訊けば、笑顔で互いを指さした。

「どの選手も危険ですよ。でも中盤を支配されたくないと、僕は思っているので、一番重要なのは彼(脇坂)なのかなと」(仲川)

「東京さんはポゼッションをしているなかで、目がそこばかりにいっちゃうとテルさん(仲川)の一瞬の背後、その緩急はこちらとしては嫌なので、そこに入らせないために、自分たちは奪い切りたい。フリーで持たせるとすごく脅威なので、そこはマークも大事ですが、自分たちがどれだけ寄せられるか、出させないというのが大事になってくると思います」(脇坂)

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さらに、互い以外でも気になる選手も挙げてくれた。

「マルちゃん(マルシーニョ)は、結構やられている印象があったので、出場停止はデカいないと(笑)(前節の鹿島戦で退場処分)。でも家長(昭博)さんは嫌らしい選手ですし、マリノスの時も結構やられている印象があるので、前目の選手、そこはみんな危険だと思っています」(仲川)

「ヤン(高宇洋)は(前節の福岡戦で)初スタメンでしたよね? 彼もフロンターレジュニアユース出身で、彼が出ていることによって、福岡戦はボールを保持している時の安定感が増した印象がありました。あとは両サイドバック(右の長友佑都、左のバングーナガンデ佳史扶)はともに(福岡戦で)点を取っていますし、攻守で警戒すべきだと思います」(脇坂)

ちなみに脇坂にとって最も印象に残るクラシコは、2019年の7月の味の素スタジアムのゲームだという。

「悠さんが先制点を取って、(齋藤)学くん、阿部(浩之)ちゃんが取って勝ったゲーム。僕はベンチにいたんですが、あのゲームは熱かったなと。2019年は(リーグ)2連覇した次の年で、なかなか思うような結果が出ていなかったなか、あの時もチーム状況があまり良くなかったなかで、多摩川クラシコを機に復調したいみたいな想いがチームのなかにあった。そこに対する熱量は凄かったですし、出ていた選手たちのプレーも凄かったです」

一方、昨季FC東京に加入した仲川はまだ多摩川クラシコの経験は少ないが、“対川崎”で記憶に残るのは、やはり横浜の一員としてリーグ制覇を果たした2019年の最終節前の等々力でのゲーム(横浜が4-1で川崎に勝利)を挙げる。

あの一戦でも先制ゴールを奪った仲川は、川崎を相手に「結構点を取っている印象」とも語る。

果たして、両者は、過去の一戦のように歓喜を手にすることができるのか。

意地と意地がぶつかり合うなかで、それぞれの特長が表われるゲームに注目が集まる。

■試合情報
J1・5節
3月30日(土)15:00キックオフ
Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
川崎フロンターレ×FC東京

■選手プロフィール
なかがわ・てるひと/1992年7月27日生まれ、神奈川県出身。161㌢・57㌔。新町ジュニアーズSCー川崎スペシャルクラスー川崎U-15ー川崎U-18ー専修大ー横浜ー町田ー横浜ー福岡ー横浜ーFC東京。J1通算171試合・39得点。J2通算30試合・3得点。日本代表通算2試合・0得点。19年にはリーグMVP&得点王に輝く。

わきざか・やすと/1995年6月11日生まれ、神奈川県出身。173㌢・69。FC本郷―エスペランサSCJrユース―川崎U-18―阪南大―川崎。J1通算150試合・26得点。日本代表通算4試合・0得点。3年連続でベストイレブン入りを果たす。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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