英皇太子、国王ら公務離脱で高まる注目度 後継者としての強い覚悟指摘する声

Sarah Mills

[ロンドン 26日 ロイター] - 英王室の中でウィリアム皇太子に対するメディアや世間の注目度がかつてないほど高まっている。1月以降チャールズ国王と皇太子の妻キャサリン妃が病気のため公務を離れているためだが、専門家の間からは、皇太子は既に次期国王「ウィリアム5世」としての覚悟が定まっているとの見方が聞かれた。

シティー・ユニバーシティー・ロンドンで王室史を研究しているアンナ・ホワイトロック氏は、皇太子は2022年9月に祖母のエリザベス女王が死去して以来、自らの運命が持つ「恐ろしい」現実を十二分に自覚していると指摘。ロイターに「国王になる準備をしなければならないと分かっている」と語った。

ホワイトロック氏は「(チャールズ国王が)がんと診断された際には、もちろん最初は息子として父親の心配をしていた。しかし皇太子の肩に突然のしかかってきた重大な責任感もある。皇太子はそれを心の底から承知している」と話す。

エリザベス女王死去に加え、弟のヘンリー王子が妻メーガン妃とともに公務を引退して米国に移住したことも、皇太子と英王室に影を落とした。

王室伝記作家のクラウディア・ジョセフ氏は「皇太子が弟との問題に加えて、妻や子どもたち、父親について不安を感じ、落胆しているのは間違いない。非常に厳しい状況だと思う。だが皇太子は意志の固い人物で非常に冷静だ」と述べた。

かつてタブロイド紙に「消極的」と評された皇太子だが、その後は地道に公務を積み重ねて環境問題や精神医療などの分野での功績を称えられるようになっている。

最近「チャールズ3世」の伝記を執筆したロバート・ハードマン氏も「時が来れば、皇太子は王位への道に踏み出すのは間違いない」と言い切った。

© ロイター